韓国紙・東亜日報は11日、韓国軍当局が「日本の自衛隊の独島(竹島)侵攻作戦のシナリオと、これを防御するわが軍の対応戦力などを明示した内部文書を作成して、昨年12月に国会に報告した」と報じた。同紙はこれについて、米国のバイデン政権が中国けん制のための韓米日三角協力の重要性を強調している状況下、こうした文書の存在が外交的な論難を呼ぶ可能性があるとの懸念を示している。
報道によれば、問題の文書には「自衛隊の独島奪還作戦シナリオ」というタイトルが付けられている。同紙は、このタイトルも問題視している。「奪還」というのは奪われたものを取り返すという意味であることから、「まるで独島が日本の地であるかのように『独島奪還』という表現を使ったのは不適切だという指摘が出ている」としている。
タイトルの表現はさておき、この文書の存在は極めて問題だ。日韓関係は「史上最悪」と言われる状況にあるが、それでも両国は米国を介して安全保障上の友好国だ。間接的な「同盟国」と言っても過言ではない。
この文書が作成された目的について韓国軍当局は、戦略資産(新兵器)導入の妥当性を説明するためだったと説明しているという。しかし、そんな説明には何の意味もない。日本を仮想敵としてシミュレーションしなければ必要性を説明できないような兵器は、現状では必要ないはずだ。それでも「必要だ」と主張するのは、そのような状況がいずれやってくると強く信じているかのような印象を与える。
最近の軽空母導入論議もそうだが、文在寅政権下の韓国はいたずらに日本をライバル視するあまり、国際政治のバランス感覚を失っているように思える。
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ちなみに東亜日報の報道によると、この文書は自衛隊が3段階の作戦を取ると想定しているという。第1段階ではサイバー戦と先遣隊の派遣、第2段階ではイージス艦1隻と潜水艦2~4隻、F-15などの戦闘機と早期警戒管制機などを動員して制空・制海権を確保、第3段階でおおすみ型輸送艦とチヌークヘリ(CH-47)、ホバークラフト(LCAC)などで2個~3個半小隊を上陸させるというものだ。
報道によると、このシナリオは2012年12月に日本の研究者が雑誌で発表したシミュレーションを参考にして練られたという。元の雑誌記事がどのような内容かはまだわからないが、果たして自衛隊がこのような行動を起こす状況が実際に生じうるのだろうか。筆者にはとうてい、そのようには思えない。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面いくら日韓関係が良くなくても、現在の情勢の中にここまでの状況を予想させる具体的な要素はないだろう。このシナリオは、韓国軍の「空想」に過ぎない。しかしそうであっても、現実の外交に悪影響を及ぼす「危険な空想」ではあるだろう。
(参考記事:文在寅の空母が自衛隊に「ぜったい勝てない」理由…韓国専門家が解説)