北朝鮮の平壌で5日から行われている朝鮮労働党第8回大会で10日、党中央委員138人と委員候補111人が選挙され、続けて行われた党中央委員会第8期1回総会で、政治局常務委員会委員など権力中枢の指導機関メンバーを選出した。
その中で注目を集めているのは、金正恩氏の妹・金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長の人事だ。政治局委員候補から外れており、肩書の上では降格と言える。党中央委員会部長の名簿にも名前がない。これまでのスピード出世を考えれば、肩透かしに近い結果と言える。
実際、北朝鮮国内には金与正氏への反発もある。デイリーNK内部情報筋によれば、金与正氏が女性の喫煙を規制しようとしたところ、兄の正恩氏がヘビースモーカーであることを理由に、国内の女性から「お前が言うな」というニュアンスの反発が出たとのことだ。また米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、北朝鮮が昨年6月、韓国の脱北者団体による対北ビラ散布への報復として、金与正氏の主導により韓国との南北共同連絡事務所を爆破した際には、地方幹部から「生意気な青二才」などと批判する声が出たという。
(参考記事:【写真】水着美女の「悩殺写真」も…金正恩氏を悩ませた対北ビラの効き目)
もちろん、こうした批判は大っぴらに口にできるものではない。秘密警察に知れれば、物理的に「クビ」が飛ぶことになる。しかし長年、強い男尊女卑の風潮に支配され、男性でも40歳以下は子供扱いされると言われる北朝鮮において、金与正氏の台頭にしっくり来ない思いのある人は少なくないのかもしれない。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面本来ならロイヤルファミリーである「白頭の血統」の一員として、そんなことを気にする必要もない。それでも、金正恩氏にせよ金与正氏にせよ、その若さゆえに「焦ることはない」との判断が出てきてもおかしくはなかろう。
また、党中央委員会の部長など特定部門を担当する要職に就かなければ、失政の責任を問われて経歴に傷がつくリスクもない。
実際、金与正氏は党中央委員会委員としては21番目の高位に名を連ねており、今後もさながら権力中枢の「遊撃手」として、金正恩氏を補佐していくと見られる。
(参考記事:「急に変なこと言わないで!」金正恩氏、妹の猛反発にタジタジ)