コロナと金正恩に追い詰められた「旅館女将」の悲惨な末路

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北朝鮮で、新型コロナウイルスの感染防止対策に従わなかったとして、ひとりの女性が逮捕された。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の現地情報筋は韓国デイリーNKの取材に対し、「先月中旬、明川(ミョンチョン)郡の旅館の責任者である50代前の女性が、感染の疑いがある患者たちの隔離場所として旅館を使用するようにという当局の指示に従わなかった罪で逮捕された」と明らかにした。

北朝鮮は新型コロナウイルスの感染を防止するため、世界でも最も厳しい防疫ルールを施行している国のひとつだ。金正恩党委員長は、防疫ルールに従わない者は軍法により処理するよう指示したとされ、自宅隔離中に外出した感染者を処刑するなどしている。

旅館の責任者――つまりは「女将」である件の女性も政治犯として逮捕されたもようで、人権侵害が横行する収容施設での過酷な運命が待ち構えていると思われる。

(参考記事:若い女性を「ニオイ拷問」で死なせる北朝鮮刑務所の実態

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情報筋によると、道内では2月から新型コロナ感染が疑われる患者が多数発生。朝鮮労働党の道委員会は明川郡と協議して、彼らの隔離先としてこの旅館を指定した。しかし件の女性は郡の幹部にワイロを渡すなどして、隔離場所としての使用を回避しようとしたという。

「この旅館は儲かっていることで有名で、郡の幹部や保安機関の幹部たちも出入りし、この女性の歓心を買おうとしていた。そんなこともあり、女性はここ数年の間に、旅館内の党細胞の責任者のクビを4回もすげかえるほど、有力者とのパイプが太かった」(情報筋)

だが、そんな女性のことを快く思っていなかったのか、旅館の党細胞責任者が道党委員会に今回の問題を報告した。それに基づき旅館の集中検閲が行われ、女性の行いは「党の防疫対策を妨害した反逆行為」とみなされたという。

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そして、検閲が行われた翌日の午前5時、女性は秘密警察である保衛部によって逮捕・連行された。保衛部は女性を、幌付きのトラックに乗せて連行したという。

情報筋は「保衛部は政治犯を逮捕するとき、夜中に対象者の家を急襲し、家族全員を幌付きのトラックに乗せて連れ去っていく。今回の連行場面はそれに似ていた」として、女性が政治犯収容所に連行された可能性を示唆した。

また、「この問題と関連して、これまでワイロを受け取って旅館責任者の面倒を見てきた郡の幹部たちも、女性とともに国家を欺いたとして連帯的責任を回避できないだろう。幹部たちにも重い罰が下されるはずだ」と付け加えた。