「事実を隠せば国民の不満が爆発」金正恩、新型コロナで危機感

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北朝鮮の対韓国宣伝サイトである「ウリミンジョクキリ(わが民族同士)」は10日、新型コロナウイルスを巡り、国家が「莫大な経済的損失を甘受」することになると言及した。新型コロナウイルスの感染拡大が各国の経済に大きなダメージを与えているのは周知の事実だが、北朝鮮メディアが経済的損失を認めるのは異例だ。

同サイトは防疫対策での金正恩党委員長の指導力を称える記事の中で、次のように述べている。

「わが党が伝染病の流入と伝播を科学的かつ先制的、封鎖的に防ぐための対策的な問題を強調して実践に移しているのは、まさに人民の生命の安全を確保するよりも重要な事業がないからである。

『COVID-19』の伝播とそれによる災害を防ぐため、莫大な経済的損失を甘受してまで超特級防疫措置を取るということは、誰もが容易に決心し、実践に移せることではない。これは人民の運命に責任を負って配慮する党と国家だけが実施できる大英断である」

経済的な損失は認めつつも、朝鮮労働党と国家の新型コロナウイルス対策は間違っていないと強調しているわけだ。北朝鮮は新型コロナウイルスの国内での感染拡大を恐れ、外国人の入国を1月22日から禁じ、同28日からは中国との貿易を全面的に停止している。

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しかし、貿易の9割以上を中国に依存する北朝鮮は、このままだと国が持たない状況となりうる。そうでなくとも北朝鮮当局は、経済制裁の影響に乱れた治安を抑え込むため、一昨年の末から公開処刑を活発化させている。

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北朝鮮当局が敢えて「経済的損失」に言及したのは、同国民の抱く危機感が、相当に強まっているためかもしれない。

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実際、韓国統一研究院のチョ・ハンボム先任研究員は米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し、北朝鮮では国境封鎖と地域間の移動制限により、市場の物価が暴騰していると解説。同国が新型コロナウイルスの感染者は国内にいないとしながら経済的損失に言及したことについて、次のように分析した。

「これまでは体制の動揺を懸念して事実を隠してきたが、徐々に本当のことを明らかにしていくように見える。何故なら事実を隠し続けると、国民の不満と動揺が爆発する可能性があるからだ。そのため徐々にショックを和らげながら、新型コロナウイルス(による被害)を既成事実化していくのではないか」

北朝鮮国内からは最近、朝鮮人民軍の兵士180人が新型コロナウイルスにより死亡したとの情報も聞こえてきている。北朝鮮の医療の脆弱さを考えれば、それでさえ氷山の一角かもしれない。北朝鮮当局がそこまでの情報を赤裸々に公開する可能性は高くないが、事実の一端ぐらいは明らかにする日が来るかもしれない。