金正恩氏は「喜び組アンダーウェア」、富裕層はブランドバッグ…制裁下の北朝鮮

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「本当の金持ちはシャネルを好む。(金正恩党委員長夫人の)李雪主(リ・ソルチュ)氏もシャネルが大好き。私の妻はバッグ、化粧品はもちろん、パジャマまでシャネルだ。もちろん偽物ではない。触ってみればすぐにわかる(中略)平壌には存在しないブランド品はほとんどないが、意外なことに『ルイ・ヴィトン』は少ない。偽物なら多いが」

チュ・ソンハ著『平壌資本主義百科全書』より。

人名が出ていなければ、一体どこの国の話かわからないが、これは紛れもない北朝鮮での話だ。

国際社会の制裁で深刻な不況に苦しめられている北朝鮮だが、富裕層の消費動向にはさほど影響が出ていないようだ。平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋は、トンジュ(金主、新興富裕層)の高級ブランド品志向について伝えた。

平壌郊外にある北朝鮮随一の卸売市場、平城(ピョンソン)市場のバッグ売り場には、女性用、男性用問わず高級バッグが山積みにされている。金持ちは自慢するかのようにバッグを手にとって選んでいるのだとか。

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北朝鮮の市場では、物が売れなくなったことで、商人の数が激減しているというが、富裕層を対象にした売り場は不況など「どこ吹く風」のようだ。金持ちは相変わらず、財力を見せつけるかのように高級バッグを購入し、周囲の人々は眉をひそめている。

(参考記事:北朝鮮の市場に異変「商人の数が激減している」

「丸一日商売したところでいくらも稼げない商人も多いというのに、一方ではコメ100キロ以上買えるほどの値段のバッグをあれこれ選ぶ人もいて閉口する。野菜や雑貨を売っている人たちは、そんな金持ちを睨みつける」(情報筋)

国連安全保障理事会が2006年に採択した制裁決議1718号には、ぜいたく品の北朝鮮への輸出を禁じる条項があるが、禁輸品目が明示されていない。一方、欧州連合(EU)は2017年11月の独自制裁で北朝鮮へのぜいたく品の輸出を品目を明示した。それでもあまり効果がなく、北朝鮮国内ではあいかわらずぜいたく品が売買されている。

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たとえば英紙デイリー・メールは以前、金正恩党委員長が「喜び組」のために、多額の金を費やして「セクシーアンダーウェア」を輸入していると報じたことがある。

(関連記事:金正恩氏が大金をつぎ込む「喜び組」の過激アンダーウェア

ぜいたく品は密輸されているケースもあるが、海外を訪れた人が友人から頼まれて高級ブランド品を持ち帰るケースもあるという。それらが市場に直接流入することもあれば、使ってはみたものの気に入らなかったとの理由で市場で売り払うこともあるようだ。ちなみに平壌では新品、地方では中古品がよく売れるそうだ。

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当局は、非社会主義、反社会主義現象の取り締まりと称して、ヘアスタイルやファッションの取り締まりを行っているが、富裕層の高級ブランド品に関しては口うるさく言わないようだ。

ぜいたく品を扱っている国営商店は、当局が富裕層のタンス預金から外貨を使わせるためのものだ。また、市場でぜいたく品を売る側も買う側も、バックに高級幹部がいる可能性があるため、下手に取り締まろうとすると、どんなしっぺ返しを食らうかわからないという事情もあるのだろう。

(参考記事:金正恩氏の「風紀取り締まり」に北朝鮮庶民が強く反発