姿を消した武装兵士の行方は…習近平の訪問直前、北朝鮮で緊張

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中国の習近平国家主席は20日、北朝鮮の首都平壌を訪問し、金正恩党委員長との首脳会談に臨んだ。14年ぶりとなる中国最高指導者の訪朝を前にして、17日から「特別警戒週間」が宣言された。国家的行事の最中、事件事故の類は1件たりとも許さないという厳重警戒態勢だ。

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ところが、その直前に朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士1人が脱走するという事件が起きた。中国との国境に面した地域で起きたため、「脱北したかもしれない」との憶測が広がり大騒ぎになったと、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

事件が起きたのは、国境を流れる鴨緑江を挟んで中国吉林省と向かい合う両江道の金正淑(キムジョンスク)郡に駐屯する国境警備隊の某中隊だ。

この中隊所属の兵士1人が夜間勤務中に姿を消した。

この兵士は同僚と2人1組で夜間勤務に当たっていたが、パトロールすると言って持ち場を離れた。ところが、いつまで経っても帰ってこないことを不審に思ったもう1人の兵士が中隊長に報告した。

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事件の発見を受けて、国境警備隊は上を下への大騒ぎとなった。単なる脱走でも大問題だが、兵士は武装したままで、また場所が場所だけあって脱北したかもしれないとの憶測が広がったからだ。

国境警備隊は非常警戒令を下し、他地域の兵士まで駆り出して、大々的な捜索活動を行ったが、結局その日のうちに発見できなかった。翌朝になって、部隊に戻ろうと歩いていた兵士が発見された。

この兵士は取り調べで「中隊の政治指導員から暴行を受け頭にきて勤務地を離脱し、山に登ってぼーっと座っていた」と陳述した。

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情報筋によると、事件の起きた当日、政治指導員は密輸の取り締まりに消極的な兵士3人を呼び出したが、質問にきちんと答えなかったとい理由で顔などを激しく殴りつけたことが明らかになった。

この政治指導員は以前から兵士に対して暴行を働いたり過酷な罰を下したりすることで、兵士の間では悪名高い人物として警戒されていた。

これを受けて、当該の政治指導員の常習的な暴行に対する批判が行われていると情報筋は伝えた。

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通常、このような事件は内部で処理して外部に情報がもれないようにするものだが、あっという間に地域社会に噂が広まった。地元民は「ちっぽけな権力を振りかざして兵士をいじめている」と政治指導員を責めているという。

朝鮮人民軍の末端の部隊からは、食糧事情の悪さから脱走が相次いでおり、民家や農場を襲ったり、脱北して中国で犯罪を起こすケースすらある。習近平訪朝を前に最悪の事件が発生していたら、処罰されるのは兵士と政治指導員だけに留まらなかっただろう。