銃殺説の北朝鮮高官、過去には「復活」していた例も

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韓国紙・朝鮮日報は31日、北朝鮮消息筋の情報として、2月末の米朝首脳会談が決裂した責任を問われ、事前交渉に当たっていた北朝鮮国務委員会の金革哲(キム・ヒョクチョル)対米特別代表が、平壌郊外の美林(ミリム)飛行場で銃殺されたと報じた。

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また、対米外交を統括してきた金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長は革命化(再教育)措置となり、金正恩党委員長の妹・金与正(キム・ヨジョン)党中央委員会第1副部長は謹慎。さらに金革哲氏らと事前交渉に当たった金聖恵(キム・ソンへ)党統一戦線部統一策略室長とシン・ヘヨン通訳官は、政治犯収容所に送られたとしている。

このニュースは日本でも注目を集めているが、真偽は今のところ不明である。韓国統一省は「確認できない」としており、朝鮮日報以外に、独自のソースでウラを取ったメディアもない。

脱北者で韓国紙・東亜日報の記者であるチュ・ソンハ氏は30日、自らのYouTubeチャンネルで、北朝鮮国内の情報提供者からの情報として、金聖恵氏が政治犯収容所に送られたと報じた。しかし、金革哲氏の「銃殺説」には触れていない。

また、アジアプレスは4月24日、北朝鮮国内で「外務省幹部4人が銃殺された」とする噂が拡散していると報じているが、その時点で確認された事実はないとし、会談決裂に伴う金正恩氏の権威失墜を最小限に抑えるため、原因は外務省幹部と裏切り行為にあるとする情報を「当局が意図的に流布させる可能性がある」との分析を紹介している。

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北朝鮮に関するこうした情報に対しては、よくよく慎重に接する必要がある。

2016年2月には、朝鮮人民軍の李永吉(リ・ヨンギル)総参謀長が処刑されたとのニュースが大きく報道されたことがあった。しかし同年5月に開催された党第7回大会に関する北朝鮮メディアの公式報道に、処刑されたはずの李永吉氏が「再登場」したのだ。同氏は降格されたものの完全に失脚したわけではなく、その後、軍総参謀長に復帰している。

もちろん、玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)元人民武力部長が文字通り「ミンチ」にされて殺されたように、金正恩氏が自分の意に沿わない高官を処刑してきたのは事実だ。

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ただ、最近まで米国との交渉を担当してきた外交官を処刑したのが事実ならば、金正恩氏の合理的判断力に疑問を抱かせる情報と言える。だから真偽の見極めは、いっそう慎重に行う必要があると言えよう。

ちなみに北朝鮮では、ここ数年の間、控えられていた公開処刑が再開されたとの情報がある。経済制裁のダメージにより経済難が深まる中、国内に殺伐とした空気が流れているのは事実のようだ。