「ミサイル発射祝賀パーティ」を開く北朝鮮に中国人も困惑

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北朝鮮は今月4日、江原道(カンウォンド)の元山(ウォンサン)付近から、複数の短距離ミサイルを発射した。また、9日にも平安北道(ピョンアンブクト)の亀城(クソン)付近から、弾道ミサイルとみられる2発の飛翔体を発射した。米朝間の交渉が膠着状態に陥った中でのミサイル発射に、国際社会には困惑が広がっている。

そんなミサイル発射を祝うパーティを、中国に駐在する北朝鮮の貿易駐在員が9日夜に開いたと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。北朝鮮の置かれた立場をよくわかっているはずの彼らが、なぜそんな空気の読めない行動に出たのか。

中国・遼寧省丹東の貿易業者は9日夜、北朝鮮の貿易駐在員から招待を受けた。単なる食事会だと思って会場に向かったこの業者は、見慣れぬ駐在員らに加え複数の中国人業者がいるのを発見した。状況が飲み込めなかった彼は、その場にいた駐在員にパーティの趣旨を尋ねた。

「我々が何を祝うためのパーティかと尋ねたところ、新しく開発されたミサイルの試験発射の成功を祝うためのものだと言われた」(情報筋)

駐在員らは、金正恩党委員長の行動は実に大胆だ、米国に見せつけてやった、祖国(北朝鮮)の事情は苦しいが、われわれは決して米国に屈さないといった発言を先を争って繰り返した。

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その場にいた中国人業者らは呆れ、眉をひそめたが、駐在員は気にすることもなく発言と拍手を繰り返したという。このようなパーティは翌10日にも開かれた。

国際情報にリアルタイムで接し、自国の置かれた立場を誰よりも理解し憂いているはずの駐在員がなぜそんなパーティを開いたのか。情報筋は、自主的なものではなく上からの指示を疑っている。

丹東の別の情報筋は「北朝鮮の駐在員は普段、中国人業者に食事をおごらないほどケチくさいのに、業者を多数招待して大金をかけて宴会を行ったのは極めて異例」として、「ふだん中国人業者の前では政治色の濃い言動は行わず、言葉に注意していた彼らが突飛な行動に出たのは、本国の指示によるものであるのは明らかだ」と説明した。

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また、金正恩氏を褒め称える発言を代わるがわる繰り返すのも、その場にいるであろう上役に忠誠心を見せつけるための「忠誠競争」と言えよう。北朝鮮では、最高指導者の権威を傷つけることは重罪とされる。

(参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

それと同じく、その権威を称えないこともまた、問題とされてしまうのだ。

このようなパーティは2016年2月7日に北朝鮮が、人工衛星と称する長距離弾道ミサイル「光明星4号」を発射した際にも行われている。

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その時の主催者は、在瀋陽北朝鮮領事館丹東支部のリョム・チョルチュン領事だったが、彼はパーティの後に泥酔したままベンツを運転し、中国人3人を死亡させる飲酒運転事故を起こしている。北朝鮮の権力者は運転が荒く、国内外でこうしたトラブルを起こしている。

リョム領事は、金正恩党委員長の実妹で朝鮮労働党宣伝扇動部部長(当時)の金与正(キム・ヨジョン)氏とのコネを使って、事件をもみ消したと言われている。