北朝鮮「報道の自由度」が驚きの1ランクアップ

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北朝鮮がついに最下位を脱した。

国際NGO「国境なき記者団」(RSF)が2002年から発表している「報道の自由度ランキング」で、北朝鮮は2017年、2018年の2年連続で、調査対象の180カ国・地域中最下位の180位を記録していたが、18日に発表された2019年版のランキングで179位を記録、最下位脱出に成功した。

しかし、評価が上がったわけではない。RSFは、北朝鮮の全体主義体制は国民を無知、つまり「由らしむべし知らしむべからず」の状態に置いているとし、携帯電話が急速に普及するもネットは遮断され、通信はほぼ完全なコントロール下に置かれており、海外の情報に接した場合は強制収容所に送られる可能性があるとするなど、評価は最低のままだ。

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北朝鮮に変わって最下位となったのは「中央アジアの北朝鮮」と呼ばれるトルクメニスタンだ。北朝鮮より1ランク上の178位となったのは「アフリカの北朝鮮」と呼ばれるエリトリアで、この3カ国は最下位争いの常連メンバーだ。

一方、軍事境界線の南側の韓国は昨年より2ランクアップの41位で、アジア最高を記録した。調査開始の2002年には39位、2006年に31位を記録したもの、その後は上下を繰り返し、朴槿恵政権時代の2016年には70位まで下落した。その後、2017年には63位を記録したが、翌年2018年には43位に急上昇、5段階評価で2つ目の「満足できる状況」となった。

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RSAは、メディアの構造的な問題や、名誉毀損による記者が最高で懲役7年の刑に処される可能性があることなどを批判しつつも、文在寅政権成立後の韓国の報道の自由について「悪い10年の後の明確な改善」と表現し、称賛した。

もっとも、文在寅政権の言論の自由に対する姿勢には、米国など内外から批判があるのも事実だ。

一方の日本は去年と同じ67位だった。調査開始の2002年には26位、民主党政権時代だった2010年には11位を記録し、世界で最も報道の自由が保たれている国の一つとの高評価だったが、第2次安倍内閣成立の翌年の2013年には53位まで下落。さらに2016年、2017年には過去最低の72位となった。

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日本の評価が低い理由についてRSAは、国粋主義的なグループが、福島第一原発事故や沖縄での米軍新基地建設などを報じるジャーナリストを「非愛国的」と非難していること、特定秘密保護法についての議論を政府が拒否していること、2012年の第2次安倍内閣成立以降、メディア多元主義の原則が揺らいでいるとの声がジャーナリストから上がっていることなどを挙げた。

日本同様に評価が激しく低下した国としては、極右政権がメディアへの干渉を行っているハンガリー(2006年10位→今年87位、EU加盟国中最低)、中国政府の干渉、自己検閲の進む香港(2002年18位→今年73位)などが挙げられる。