金正恩氏「違反ベンツ」での記念写真を公開された文在寅氏の泣き所

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国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルは12日、年次報告書を発表した。報告書は、北朝鮮がサイバー攻撃で仮想通貨5億7100万ドル(約630億円)を盗み取ったと指摘。また、弾道ミサイルの開発・実験を民間の工場や空港などで続けている実態も明らかにしたほか、制裁逃れの実態を広範に明らかにした。

報告書が問題視しているものの中に、「ぜいたく品禁輸」に違反して北朝鮮に持ち込まれたと見られる、金正恩党委員長の専用ベンツがある。クルマ好きで「走り屋」との説もある金正恩氏が、あらゆる手段を講じて欲しい車種を手に入れていることは、以前から知られていることだ。

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そうした既存の情報に加え、報告書は今回、新たに「言外」の問題提起を行った。韓国の文在寅大統領が昨年9月、平壌で金正恩氏と共に問題のベンツに乗った写真が掲載されたのだ。朝鮮日報(日本語版)の14日付の報道によれば、「韓国政府は今年1月にこの報告書の草案が作成された際、『報告書に文大統領の写真が掲載される』との情報を入手し、これを阻止するための外交に全力を挙げた」というが、結局のところ聞き入れられなかったということだ。

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制裁委員会がこの写真を敢えて掲載したのは、安保理の制裁決議を厳守すべき国連加盟国の責任をただし、特に北朝鮮との融和に前のめりになっている韓国に自制を促すためだろう。この写真のおかげで、韓国は諸外国の厳しい視線にさらされることになったわけで、文在寅氏の対北政策は、様々な意味でリスキーなものであることがわかる。

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ただ、これはなかなか難しい問題ではある。

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北朝鮮は制裁違反の疑われるベンツを、シンガポールとベトナムでの米朝首脳会談の際にも持ち込んでいるが、それに対して、米国を含む関係国が何らかの指摘を行ったとの話は聞かない。対話のために出向いている以上は儀礼を重んじなければならず、その場で相手のクルマにケチを付けるのはどんな国の政府にとっても不可能だということだ。

正直なところ、北朝鮮を巡る他のいくつかの問題と比べれば、ベンツが10台や20台密輸されていたとして、そんなことはどうでも良いことだ。最も重大なのは、人権問題である。

文在寅氏もトランプ米大統領も、首脳会談で北朝鮮の人権状況の改善を強く求めなかった。トランプ氏に至っては、北朝鮮を擁護するようなことまで言った。さらには北朝鮮で拘束された後、不審死を遂げた米国市民のケースでもいいかげんなことを言っている。

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それでも国連には、この2人の首脳の怠慢を指摘する、強力な報告書を出す仕組みがない。北朝鮮に対して何らかの妥協、及び腰が見えるという点では、韓国も米国も国連も同じなのだ。

そして今、安倍晋三首相は金正恩氏と直接「向き合う」と宣言しているわけだが、果たして、米韓の2人に増して毅然とした物言いができるだろうか。