北朝鮮が「正常国家の日本」を激しく警戒する理由

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北朝鮮の主要メディアである労働新聞と民主朝鮮、朝鮮中央通信は19日、揃って日本を非難する論評を出した。金正恩党委員長が米韓との対話に舵を切って以来、北朝鮮メディアが非難する対象は日本と韓国の保守派ぐらいになっている。

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それにしても、3メディアが一斉に日本を非難するのは初めてのことではないが、対日攻勢は強まっていると言える。特に朝鮮中央通信は次のように述べ、日本の今後に対する警戒感を露わにした。

「改憲を一日も早く実現させて合法的に日本を交戦権を持つ正常国家、侵略戦争を意のままに行える国につくろうというのが、安倍政権の野望である」

北朝鮮が、日本の軍事力強化を懸念するのは当然のことだ。

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金正恩氏は先日、人民武力相で行った演説で軍の「道徳強兵化」を打ち出した。敢えて「道徳」を強調するのは、横流しや性的虐待などにより、軍の規律が乱れきっていることの反証と言える。

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金正恩氏は今月末にトランプ米大統領との2回目の首脳会談を控えている。日米などのメディアでは、トランプ氏が北朝鮮に妥協する可能性も指摘されており、国際政治における金正恩氏の旗色は悪くないはずだ。

それでいて日本への警戒を強めるのは、米朝合意により、北朝鮮の軍事的弱体化に拍車がかかってしまうからだろう。非核化が前進すれば、通常戦力で周辺各国に大きく後れを取る北朝鮮は、「東アジア最弱」の地位に固定されかねない。

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ちなみに、労働新聞の同日の論評は、「日本の外交的孤立は彼ら自身がもたらしたものである」と主張。「地域で日本が独りぼっちの境遇から免れるための前提条件は一にも、二にも、三にも誠実な過去清算である」などと述べた。また民主朝鮮の論評は、日本政府に過去の植民地支配の「反省」を迫る内容だった。

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これら2紙の論調には、ハッキリ言って、国際政治の現在の局面に切り込む鋭さがない。やはり朝鮮中央通信の主張に表れた警戒感こそが、北朝鮮の日本に対する現在の視線であると見るべきかもしれない。