北朝鮮を手玉に取った「100歳老人」の痛快エピソード

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100歳を迎えた北朝鮮の長寿老人に、同国のテレビ記者たちがほとほと困らされたというエピソードが聞こえてきた。

食糧難や経済の混乱が続く同国で、100歳まで長生きできる人は極めて珍しい。そのため、国営の朝鮮中央テレビは体制宣伝のための格好の素材と考えたようだが、老人はインタビューで「将軍様のご配慮のおかげで長生きできた」との言葉を最後まで口にしなかったという。北朝鮮でこのような態度は「不敬罪」に問われかねないものだが、老人はどうやら「ボケたふり」をして記者や当局を手玉に取ったようだ。

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デイリーNKの内部情報筋によれば、この出来事は1月中旬頃、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の穏城(オンソン)郡で起きた。

北朝鮮メディアは現在、3月10日の最高人民会議(国会に相当)代議員選挙を控え、いつに増して体制礼賛の報道に力を入れている。といっても、その中身はいつもと同じ「ヤラセ報道」に過ぎず、国民が関心を向けることはほとんどない。

しかし、100歳を迎えてなお、健康に生活している高齢者のインタビューならば、人々の関心を引くのに十分な素材だ。テレビ局は現地の朝鮮労働党組織と行政機関、そして本人及び家族と十分な打ち合わせを行い、老人の自宅で取材に臨んだという。

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「ところが、いざインタビューを始めて見ると、老人はいつまで経っても『ご配慮』云々を口にしない。記者や家族が何度、『長生きできた理由は?』と水を向けてみても、耳が遠くてよく聞き取れないしぐさを見せつつ『子どもの頃から体が強かった』『歯が丈夫で食べ物をよく噛んでいる』などの言葉を繰り返したらしい」(情報筋)

結局、「将軍様のご配慮」については、家族が代弁してお茶をにごしたとのことだ。家族は記者らに対し「なにぶん、ボケているもので」などと言い訳したというが、近所の人々は「ふだんは耳もよく聞こえて、意識もハッキリしているご老人なのに」と漏らしているという。

北朝鮮では、意識的であれ無意識的であれ、最高指導者の権威を傷つける行為は政治的な事件として扱われ、厳罰を受けることも珍しくない。

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しかし情報筋によると、「若い人であれば、おそらく大きな問題になるだろうが、さすがに100歳の高齢者だけあって、当局は何の措置も取っていない」という。近所の人々の間では、老人がわざと当局を手玉に取ったのではないかとの噂も広がり、痛快な笑い話になっているという。