北朝鮮が日本に異例の「ありがとう」伝達…金正恩氏ら兄妹のメディア戦略

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北朝鮮国営の朝鮮中央通信は4日、同国の朝鮮赤十字会中央委員会が「近年、遭難したわが船員たちが無事に帰国できるように数回にわたって人道的援助を提供した日本当局に当該のルートを通じて謝意を表した」と伝えた。

実の妹の「役割」

北朝鮮が、日本への謝意表明を国営メディアで明らかにするのは極めて異例だ。

北朝鮮メディアのこうした変化は金正恩政権ならではのものと言える。金正恩氏は、メディア戦略に相当に力を入れている。父親の金正日総書記は、自らの「神秘性」を守ることを重視していたのか、自国メディアにおいてもあまり色々な表情を見せなかった。

それに比べ金正恩党委員長は、自分の「ヘンな写真」までバンバン公開してしまうほど開けっ広げだ。

(参考記事:金正恩氏が自分の“ヘンな写真”をせっせと公開するのはナゼなのか

あるいは、こうしたメディア戦略には、金正恩氏の妹である金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長が関わっているかもしれない。彼女が籍を置く党宣伝扇動部は、国内メディアの指導・検閲も担当する。

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また、金正恩氏に遠慮なく何でも進言できるという彼女なら、「日本に対しても、お礼を言うべきときは言わなくちゃ」とでも提案できるかもしれない。

日本海沿岸では近年、北朝鮮漁民と見られる遺体の漂着が後を絶たない。これについては、金正恩氏らも問題視しているふしがうかがえる。

デイリーNKジャパンの取材によれば、金正恩氏は昨年5月、GPSを搭載したプラスチック(おそらくFRP)製の漁船を2万隻調達せよとの命令を下したとされる。というのも、遭難が続発する最大の原因は、「日本なら100年前のシロモノ」と言われる粗末な木造船による強引な出漁にあると見られているからだ。

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いずれにせよ、北朝鮮側が日本への謝意表明を公開したことは、わずかではあるが好ましい動きと言える。もちろん、普通の国であれば当たり前のことなのだが、最近の北朝鮮メディアが日本非難一色であることを考えると、「あれも是々非々でやっているのかな」という気もする。