歯がズレて死亡の米大学生に「北朝鮮がペンチで拷問」…米裁判所

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北朝鮮に長期拘束された後、昏睡状態で解放され、その直後に死亡した米バージニア大学生、オットー・ワームビアさん(当時22歳)の両親が北朝鮮に賠償を求めていた訴訟で、米ワシントンDCの連邦地方裁判所は24日、北朝鮮に対し5億0100万ドル(約552億円)の支払いを命じた。

米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)が27日付で伝えたところによると、同地裁のベリル・ハウェル首席判事は判決とともに公開した「意見書(memorandum opinion)」で、北朝鮮がワームビアさんに「ペンチ」や「電気ショック」を利用して拷問を加えていたと考えられる、という専門家の意見を採用した。ハウェル氏は、ワームビアさんの足にある大きな傷跡や、歯の位置が変わっていると証言した主治医の調書を引用し、「ワームビアさんの足に電気ショックが加えられたり、歯の位置を変えるためペンチを使ったりしたことを裏付けている」と記している。

問題は下の歯列の中央の2本の歯なのだが、北朝鮮に行く前のワームビアさんの写真ではきれいな歯並びであることがわかる。しかし、ワームビアさんな主治医が陳述書に添付して連邦地裁に提出したスキャン写真を見ると、この2本の歯が、不自然に口の内側に移動しているのだ。

(参考記事:【写真】大きく変形したワームビアさんの歯列

ただ、米国司法はこのような判断を下したものの、北朝鮮が同裁判にいっさい対応せず、抗弁を行わなかった事実にも留意しなければならない。

北朝鮮が自国民に対して拷問を行っているのは、様々な証言から明らかになっている。

(参考記事:北朝鮮の刑務所で「フォアグラ拷問」が行われている

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その一方、VOAは11月、近年になって北朝鮮に拘束された米国人からは、精神的な圧迫を別にすると、北朝鮮当局から拷問を受けたとの証言は聞かれないと伝えている。さらに、ワームビアさんの送還交渉に当たったジョセフ・ユン国務省対北政策特別代表(当時)が。北朝鮮側の医師からワームビアさんが有罪判決後24時間以内に病院に移送されたと説明を受けた事実を根拠に、「米国政府の助けを期待できないとの話を聞いたワームビアさんが、極端な選択をした可能性がある」とした米メディアの報道に言及している。

つまりは絶望したワームビアさんが自ら死を選ぼうとした可能性があるということだ。もしそうなら、ワームビアさんが横転するなどした際に口や顎のあたりをどこかにひどくぶつけ、歯列が変形してしまったということも考え得る。

だがこれだと、ワームビアさんがボツリヌス菌に感染した云々と説明している北朝鮮側の主張と食い違うことになり、いずれにしても矛盾は残る。

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北朝鮮が将来有望な米国の若者に拷問を加え、死に至らしめたとする今回の判決は、いずれ米朝対話に大きな影を落とす可能性もある。

(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…