北朝鮮で拘束・死亡の米大学生「歯が不自然にズレた」謎は明かされるか

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米財務省は10日、北朝鮮における深刻な人権侵害や言論統制に関与したとして、金正恩朝鮮労働党委員長の側近である崔龍海(チェ・リョンヘ)党副委員長ら3人を制裁対象に指定。同省は声明で、「北朝鮮による米国民のオットー・ワームビア氏に対する非道な扱いを改めて想起させる役割を果たすものでもある」と言及した。

米バージニア大学生だったワームビアさん(当時22歳)は、北朝鮮を旅行中に同国当局に拘束され、昨年6月に昏睡(こんすい)状態で解放されて間もなくして死亡した。その死因を巡り、ワームビアさんの両親は北朝鮮を相手取って民事訴訟を提起しており、19日にはワシントンDCの連邦地裁に初出廷する。

米国政府は11日にも、北朝鮮を信教の自由が侵害されている「特定懸念国」に指定したとの声明を発表し、人権問題での圧迫を強めている。そんな中で行われる民事裁判は、米国世論の関心を集める可能性が高い。

特に注目されるのは、両親の側が「北朝鮮から帰ってきたワームビアさんの歯列が大きく変形していた」と主張していることだ。問題は下の歯列の中央の2本の歯なのだが、北朝鮮に行く前のワームビアさんのエックス線写真では、きれいな歯並びであることがわかる。

しかし、ワームビアさんな主治医が陳述書に添付して連邦地裁に提出したスキャン写真を見ると、この2本の歯が、不自然に口の内側に移動しているのだ。

(参考記事:【写真】大きく変形したワームビアさんの歯列

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これについて主治医は、「外部から物理的な力が加えられた可能性がある」と述べている。

両親はこうした資料などを根拠に、ワームビアさんが北朝鮮で拷問されたと主張している。たしかに、北朝鮮はかつて、拘束した米国人に拷問を加えた「前科」がある。

しかし、それがハッキリしているのは1968年に拿捕された米海軍艦艇「プエブロ」号の乗組員への暴行についてであり、その後に拘束された米国人からは、拷問はなかったとする証言も出ている。

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だがいずれにしても、北朝鮮側はこの民事訴訟で正式に抗弁する手続きを踏んでおらず、裁判が両親の側に有利に進む可能性は高い。

今年、北朝鮮との非核化対話が始まって以降、トランプ政権はこの問題に特別な関心を示していなかったのだが、財務省が声明で言及した手前、仮に裁判で注目に値する判決が出たら、ホワイトハウスも自国民の主張と自国司法の判断を重視せざるを得なくなるのではないか。そうなったらトランプ大統領は、今後の北朝鮮側との対話の中で、判決への対応を求めることになるのだろうか。

裁判の行方が注目される。