杭に縛り付けられ、その場で灰にされた2人…惨劇は11月に始まった

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北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は2013年12月、叔父である張成沢(チャン・ソンテク)元党行政部長を処刑した。その前後に起きた関係者の処刑・粛清も合わせ、一連の「張成沢粛清事件」は、金正恩氏の冷血さを見せつけた出来事だった。それと同時に、その後の核開発強行とその成功で見せた金正恩氏の圧倒的なリーダーシップは、この事件を踏み台にして発揮されたように見えなくもない。

張成沢氏の失脚が公式化されたのは同月8日の党政治局拡大会議でのことであり、死刑は4日後に執行された。しかし、残酷な粛清劇はその前から始まっていた。

韓国の国家情報院は同月3日、国会情報委員会に対し「張氏最側近に対する公開処刑が先月下旬に行われた事実が先ごろ確認された」と報告した。処刑された2人は李龍河(リ・リョンハ)党行政部第1部長と張秀吉(チャン・スギル)同副部長だった。

公開処刑は、平壌郊外にある姜建(カンゴン)軍官学校の練兵場で行われた。衛星写真により、これ以前にも公開処刑の様子が捕捉されていた場所だ。

韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使の著書『3階書記室の暗号』や、国情院次長や大統領補佐官を歴任した羅鍾一(ラ・ジョンイル)氏の『張成沢の道』などの情報を総合すると、2人に対する公開処刑の様子は次のようなものだった。

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11月末の朝、党・軍・行政機関の幹部ら数百人が練兵場に集められた。練兵場には白い大きな幕が張られ、その背後に人の気配がした。10時ごろ、幕が取り除かれると、木の杭に裸で縛り付けられた2人の姿があった。秘密警察である国家安全保衛部(現国家保衛省)の特別裁判官が「個人的な幹部に盲従盲動して反党、反革命、宗派行為を行った」との判決文を読み上げ、死刑の即時執行を宣言した。

処刑に用いられたのは、大口径の4銃身高射銃である。これで撃たれると、人体は原形をとどめず文字通り「ミンチ」となる。さらに、バラバラになった2人の遺体は火炎放射器で焼かれ、その場で灰になったという。

従来、北朝鮮の公開銃殺にはカラシニコフAK47自動小銃が用いられてきた。それでも十分に残忍な殺し方が可能であり、ある女優の処刑を見ることを強いられた女性芸術家たちは全員、失禁せざるを得なかったという。

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それにもかかわらず、不必要に破壊力の大きな火器を用いるのは、まさに「金正恩式恐怖政治」の演出と言えた。2人の処刑を見せられた幹部たちはしばらく、食べ物も喉を通らなかったと言われる。

しかし、このむごたらしい処刑も、残忍かつ大規模な粛清の序章に過ぎなかった。