金正恩氏「親日の血筋」が韓国訪問で暴かれる

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北朝鮮の金正恩党委員長の「不都合な出自」が、いよいよ白日の下にさらされるかもしれない。金正恩氏は、9月に平壌で行われた南北首脳会談で訪韓の意思を表明。支持率低下に悩む韓国の文在寅政権は、年内の訪韓実現を目指している。

タイムリミットは目前である。金正恩氏が12月中に訪韓することは、人権問題や様々な国際環境に照らせば極めて困難に思える。何よりも北朝鮮側の熱が冷めてきているようにも見える。

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それでも、韓国政府はあきらめが悪い。文在寅氏は先月28日、「金正恩氏が訪韓したら何を見せたいか」という記者の質問に対して「済州島」だと答えたという。だが、これは「地雷」を踏む可能性が高い。

文在寅氏は9月に訪朝した際、金正恩氏と白頭山に登ったことから、その返礼の意を込めているのだろう。金正恩氏といっしょにヘリコプターで済州島にある韓国の最高峰・漢拏山(ハルラサン)を見物することも議論されているというが、あまりにも脳天気すぎないだろうか。

金正恩氏の実母は大阪出身の高ヨンヒ氏だ。

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さらに高ヨンヒ氏の父親、つまり金正恩氏の母方の祖父である高京沢(コ・ギョンテク)氏は済州島生まれで、済州島には高京沢氏の記録が残っている。後に日本にわたった高京沢氏は、第二次世界大戦中に旧日本陸軍が管轄する工場で働いていた。北朝鮮の基準からすれば「親日派」というレッテルを貼られてもおかしくないのだ。

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もちろん、日本の支配下にあった当時の朝鮮人に、仕事を選ぶのに「親日行為に当たるか否か」など考えている余地はなかった。日本に留学した若者の中からも独立運動の闘士が出ていることを考えて見れば、ほとんどナンセンスな議論でもある。

しかし、北朝鮮は金日成主席に始まる「白頭の血統」の歴史をウソで固め、完全無欠な愛国者に仕立て上げたお国柄である。高京沢氏の経歴は、十分に「ノーサンキュー」に違いないのだ。

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金正恩氏が済州島を訪問、あるいは漢拏山を見物すれば韓国のメディアだけでなく、世界のメディアが「金正恩氏が母のふるさとを訪れた」と報じることは間違いない。祖父が日本軍と関係があったことも大きく報じられ、こうした情報は北朝鮮内部にも密かに流入するだろう。

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北朝鮮当局のプロパガンダに飽き飽きしている庶民は、「元帥様は親日派の血統」「白頭血統ではなく漢拏山血統、いや富士山血統だ」などと揶揄するかもしれない。

金正恩氏が自ら正当化してきた「白頭の血統」に大きな傷がつくことを、果たして彼自身が望むだろうか。

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文在寅氏の支持率は見る見る下落している。それでも南北関係については一定の評価を得ている。金正恩氏の訪韓によって支持率上昇のきっかけをつかみたいのかもしれない。が、安易な意図が北朝鮮側に読み取られると、金正恩氏によって逆に手玉に取られるかもしれない。