芸術家出身の美女が…北朝鮮「高級VIP風俗」の実態

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9月20日に韓国で出版された「平壌資本主義百科全書」が好評を博しているようだ。著者は東亜日報のチュ・ソンハ記者。チュ氏は北朝鮮の最高学府・金日成総合大学を卒業した脱北者で、北朝鮮社会の内部をえぐる取材では他の追随を許さない活躍を見せてきた。

新著の内容は、これまでにも増して衝撃的だ。筆者も読み始めたばかりなのだが、のっけから引き込まれた。冒頭で紹介されているのは北朝鮮人口の「0.001パーセントレベルの御曹司」のインタビューだ。

北朝鮮で貧富の格差が拡大しているのは周知の事実ではあるが、平壌中心部の外貨専門サービス施設で1日に1000ユーロ単位の遊興費を当たり前のように蕩尽するという「御曹司」の話は、ハッキリ言って想像以上だった。

今後も本書のポイントについて機会があるごとに紹介するつもりだが、とりあえず目に入ったのは次のくだりだ。

「彼は常連として通う家屋型のクラブについても衝撃的な話を続けた。一般のマンションに店を構え、芸術家出身の美しい女性が身分の確かな固定客のVIPを相手にお酌をし、接待(ベッドも含む)をする。一晩に普通、100ドル以上だという」

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北朝鮮においても、性の売買が行われている事実はつとに知られている。よく知られているのは低所得層の女性たちの、食べていくための生業についてだが、それとは違う金持ち相手の商売があることも伝えられている。

(参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

それにもかかわらず、今さらながらこの話が目に入ったのは、少し前に北朝鮮の人権協会が、同国における女性への性暴力実態について証言した脱北者たちを口汚く罵る論評を発表していたからだ。

北朝鮮が海外に向けて発信した「タテマエ論」を真面目に取り合うことほど無駄なことはないのだが、だが今このタイミングにおいては、矛盾を指摘しておく意味は小さくないと思う。何故なら金正恩党委員長は米国や韓国との対話を通じ、「正常国家」への脱皮を目指しているように見えるからだ。

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しかし実際のところ、北朝鮮社会の矛盾は、金正恩時代に入っていっそう激化しているように見える。2013年12月に処刑された金正恩氏の叔父・張成沢(チャン・ソンテク)元朝鮮労働党行政部長の判決文は、彼が数多くの女性と不倫関係にあったことを罪のひとつに数えていた。

ほかにも、日本や韓国では問題にならないような「性びん乱」を理由に処罰された北朝鮮国民が、どれほど多いことか。

だが、張成沢氏と同様の行為を続ける金持ちがいかに多くいようとも、彼らはそれによって処罰の対象にはならない。つまりは生かすも殺すも金正恩氏の胸三寸であり、法も何もないということだ。前述したような高級VIP風俗は、自身に忠誠を誓う幹部たちへの一種の「お目こぼし」として、金正恩氏により存在を許されているということなのだ。