氷点下33度、最果てリゾート「寒すぎる写真」が誘う不吉な予感

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北朝鮮国営の朝鮮中央通信は30日、金正恩党委員長が中国との国境に近い三池淵(サムジヨン)郡を視察したと伝えた。金正恩氏が同郡を視察するのは、今年3回目だ。

三池淵郡は北朝鮮で「革命の聖地」として知られるとともに、風光明媚な景勝地でもある。金正恩氏は東海岸の「元山葛麻(ウォンサンカルマ)海岸観光地区」と並び、同郡の観光開発プロジェクトを最重視していると見られる。

9月に行われた南北首脳会談に際しては、金正恩氏らが文在寅大統領を三池淵(サムジヨン)に案内。池のほとりで行われた昼食会は、実に心地良さそうだった。本格的な開発が行われるならば、観光地としてのポテンシャルは高いものがあるだろう。

ただし、観光地として成功するためには「本格的な投資」も必須となる。北朝鮮の建設プロジェクトでは手抜き工事が横行しており、安全性に敏感な外国人観光客を大量に誘致するなら、信用の高い外資の参加が不可欠だ。

(参考記事:金正恩氏の背後に「死亡事故を予感」させる恐怖写真

それだけではない。北朝鮮においては「最果ての地」のひとつとも言える三池淵は、冬場が問題なのだ。この一帯の平均最低気温は、最も寒い1月で氷点下24度にもなり、日中も氷点下11度までしか上がらない。大寒波に襲われた昨年12月には、氷点下33度を記録している。

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今回、朝鮮中央通信が公開した写真を見ても、現場はいかにも寒々としている。これがエネルギー事情の良い国なら問題ないのだが、慢性的な電力難の中にあり、石炭以外の燃料も不足している北朝鮮では、満足に暖も取れないのではないかと不安になる。

さらに、今回の視察で金正恩氏が下した指示も不安を増幅させる。金正恩氏は現地で「内閣と三池淵郡建設指揮部は三池淵郡内の全ての重要建設を2021年まで4段階に分けて行うと計画しているが、党の意図とは異なる」と述べ、朝鮮労働党創立75周年を迎える2020年10月までに完成させるよう厳命したという。

北朝鮮では、最高指導者がひとたびこのような指示を下せば、それは命に代えてでも守るべき「掟」となる。現場はムリを重ねるようになり、事故が起きやすくなるのだ。

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実際、北朝鮮ではムリな工期設定や安全対策の不備により、数十人、数百人が犠牲になる事故が繰り返し起きてきた。

そのような事故を避け、かつスピーディーに工事を進めようと思えば、やはり必要なのは豊富な資金である。つまりは金正恩氏が少しでも早く非核化を進めるならば、本人の望みもまた、かないやすくなるというわけだ。

三池淵(サムジヨン)郡を視察した金正恩氏(2018年10月30日付朝鮮中央通信)
三池淵(サムジヨン)郡を視察した金正恩氏(2018年10月30日付朝鮮中央通信)