最近の韓国は、やっぱりどうかしている。
欧州を歴訪中の文在寅大統領は18日、バチカンでローマ法王フランシスコと会談した。青瓦台(韓国大統領府)によると、法王は文氏から北朝鮮の金正恩党委員長の訪朝要請を伝えられ、「(北朝鮮から)公式の招請があれば無条件で返事をするし、私は行くことができる」と述べたという。
これを受け、韓国の主要メディアは「法王が事実上、訪朝要請を受諾した」と大々的に報じた。しかし、これがそんなに大きなニュースなのだろうか。北朝鮮は、キリスト教徒を含む自国民に、また外国人にさえひどい人権侵害を加えている国だ。彼らを救うため、法王が喜んで訪朝するだろうことは、誰にでも容易に想像できる。
(参考記事:「北朝鮮で自殺誘導目的の性拷問を受けた」米人権運動家)問題は、法王が行くかどうかではなく、金正恩氏が「公式の招請」を送るかどうかなのだ。
米国務省が5月29日に発表した2017年版の「信仰の自由に関する国際報告書」は、北朝鮮では2017年の1年間に、宗教活動をしたという理由から119名が処刑され、770名が収監されたと指摘。また、宗教を理由に87名が失踪し、48名が強制移住させられ、44名は身体的に負傷したとしている。
(参考記事:「北朝鮮のキリスト教徒が『冷凍拷問』で殺されている」脱北者が証言)人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面
この事実を前に、金正恩氏と法王との間で、いったいどのような対話が可能なのか。
主に進歩系の韓国メディアの報道は、こうした問題にほとんど言及していない。たとえばハンギョレ新聞(日本語版)は19日、次のように書いている。
「ローマ法王が『無条件に返答する』として訪朝に肯定的な意思を表明したことで、文大統領は朝鮮半島平和の局面を促進する画期的な土台を作ると共に、後戻りを防止する強力な“弁膜”を確保した。平和と和解の象徴であるローマ法王の史上初の訪朝は、全世界の耳目を集中させ、朝米を朝鮮半島の非核化に向けて進ませる“圧力”として作用するものとみえる。さらに、世界12億のカトリック社会の霊的指導者の訪朝を通じて、北朝鮮を名実共に国際社会の一員にする効果も得られる。文大統領は、国際社会が真摯に非核化に取り組んでいる北朝鮮を包容し、正しい選択をするよう督励すべきだと強調してきた」
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面まったく能天気で、手前勝手な解釈だ。この数十年間、体制の脅威になるとして徹底的にキリスト教を弾圧してきた北朝鮮がなぜ、法王が来ただけで改心すると思えるのか。
(参考記事:実はクリスチャンの家系なのに…キリスト教徒を処刑してきた北朝鮮の独裁者たち)そもそも、南北首脳会談で法王の招請を先に話題にしたのは文在寅氏だったとされる。文在寅氏から「招請すれば」と持ち掛けられた金正恩氏が、「来るなら熱烈に歓迎する」と応じたのだ。ということはもしかすると、金正恩氏の「歓迎」発言は、多分にサービストークとしての性格を帯びていたのではないか。あるいは「来るものは拒まず」という、消極的な同意だったのかもしれない。
いずれにせよ、金正恩氏が本当に法王を招請するかどうかは、間もなく明らかになるだろう。