「女性の売買、中国で爆発的拡大」米議員ら政府に対中制裁を勧告

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米議会の超党派委員会が10日、脱北者の強制送還や北朝鮮女性の人身売買を巡り、中国政府などに対する制裁発動を勧告する報告書を公開した。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、米議会の中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)は同日発表した2018年版の年次報告書で、中国が脱北者に対する人権侵害や北朝鮮女性の人身売買を助長しているとして、政府機関や個人に対し制裁措置を取ることを勧告した。

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北朝鮮女性の人身売買を巡っては、トランプ米大統領が今年2月、脱北者らをホワイトハウスに招いて実態を聞き取ったうえで「(自分が)なくして見せる」と語っていた。しかし同氏はその後、金正恩党委員長との信頼関係構築を優先し、北朝鮮が嫌う人権問題への言及を避けている。

北朝鮮女性が中国で人身売買の被害に遭うのは、中国当局が脱北者を強制送還する方針を取っていることが背景にある。強制送還されれば拷問を含む凄惨な人権侵害が待っているため、犯罪の被害に遭っても、当局に保護を求めることができないからだ。

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一方、同委員会の共同議長であるクリス・スミス下院議員(共和党、ニュージャージー州選出)はRFAに対し、中国の「ひとりっ子政策」による男女の人口不均衡が、中国国内での人身売買をさらに煽っていると指摘している。

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「中国では人身売買が爆発的に増加し、女性を商品のように扱っています。(中国は)北朝鮮をはじめとする他の国々から、こうした女性を連れてきているのです」(スミス氏)

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報告書はまた、今年3月に金正恩党委員長が訪中して以降、中国当局が脱北者情報の提供(密告)に対する補償金を上げたとする韓国メディアの報道を引用し、その結果として、中国当局は多くの脱北者を拘束・送還していると批判した。

さらに、中国当局は昨年末から、脱北者支援で重要な役割を担ってきた韓国の宣教師と教会に対する取り締まりをいっそう強化していると指摘。これと合わせ、北朝鮮や東南アジアとの国境地帯での検問を強化したことが、脱北者の安全を脅かしていると主張した。

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報告書はこのような実態を踏まえ、トランプ政権と議会が空席となっている北朝鮮人権特使を早期に任命・承認し、北朝鮮人権法に基づき、韓国とともに中国国内の脱北者のための人道的支援と人権増進の努力を調整していくことを勧告している。