女性の「性上納」やカネまみれ…北朝鮮「偉大な党」のハレンチ度

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「朝鮮労働党員は偉大な首領・金日成同志が切り開き、偉大な指導者・金正日同志が率いる主体革命偉業、社会主義偉業のために全てのものをみな捧げ、闘争するチュチェ(主体)型の革命家である」(朝鮮労働党規約より)

北朝鮮の朝鮮労働党は今月10日、73回目の党創立日を迎えた。高邁な理想を掲げてはいるものの、拝金主義が蔓延する北朝鮮では、革命家たるべき党員が神聖な党員資格を私利私欲を満たすための道具にしている。

(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が紹介したのは、道内の白岩(ペガム)郡に在住する40代初頭の住民の事例だ。

この人は商売で成功し、かなりの財産を築いたが、社会的地位は低いままだった。それは「成分」が悪いからだ。

成分あるいは土台と呼ばれる身分制度は、北朝鮮に暮らす人に一生ついてまわる。以前に比べると緩和されたとはいうが、就職、進学での差別的な扱いを受ける。この人の場合、労働党員はもちろん、協同農場の分組長にすらなれず、鬱屈した人生を送ってきた。

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労働党の入党審査は非常に厳しく、村から1人も入党できない年もあった。ましては成分のよくない彼にとって、入党は非常に困難なものだった。しかしそれはあくまでも建前で、かなり前からカネと引き換えに入党させる行為が行われてきた。さらには入党推薦をエサに、女性に対して「マダラス」や「書類整理」と呼ばれる性上納を要求する行為も横行している。

この人は、労働党創立日を前に資金集めをしていたある幹部から豚3頭とトウモロコシ2トンの「愛国献納」を行えば入党させてやるとの提案を受けた。カネに換算すると500ドル(約5万7000円)。これと言った産業のない山奥の農村では「相当の勇気が必要な額」(情報筋)だが、その提案を飲んだということだ。情報筋は言及していないが、豚とトウモロコシがこの幹部の懐に入ったのは言うまでもない。

「物心両面で愛国した」という証書を受け取り、地域の党組織から入党を準備せよとの指示を受けた。党員としての資質に問題ないかを審査する党細胞会議が行われ、「候補党員証」(1年間の見習い党員期間に持つ党員証)を受け取った。

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本人はさぞかし喜んでいると思われるが、2000年に脱北したある平壌出身の脱北者はこの人に対して「あまりにも世間知らず」だと評価した。

1990年代、入党に必要なワイロは300ドル(1999年6月のレートで約3万6000円)で、コメ2トンを買える金額だった。現在のコメ価格で計算すると960万北朝鮮ウォン(約12万5000円)が必要だった。それが500ドル(約5万7000円)までワイロの相場が下がったということだ。つまり、相場以上のワイロを払ってしまったことになる。

「500ドルを渡したとするならば、彼は状況の変化を認識していなかったようだ。ずる賢い党幹部が、純真なこの人の願いと引き換えに儲けてやろうと思ったのだろう」(脱北者)

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商才には長けていても、北朝鮮が忠誠心よりはカネがモノを言う国になっていたことに気づかなかったようだ。

また、党員の価値がかつてほど高くないことも知らないのだろう。党員は民間企業で働いてはならないことになっており、党員だという理由で企業をクビになる人がいる。

しかし、「名誉欲」「幹部への出世」を目指している人も存在し、カネや性上納を対価として、党員資格を売り買いする行為が行われているということだ。