「付き合ってられねえ」北朝鮮の若者たちが金正恩氏の方針に不満

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北朝鮮では年がら年中、そこかしこで何らかの政治集会が開かれている。

例えば、核・ミサイル開発により米国との関係が緊張していた昨年は、米国への復讐を誓う集会、米国を倒すために軍隊に入隊させてほしいという集会、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議に対して政府が出した声明を支持する集会などなど、様々な集会が目白押しだった。

首都・平壌の金日成広場周辺で行われるこれらの集会には、最大で10万人の若者たちが動員されるが、「開催が頻繁すぎてもはや何の集会かはわからない」「興味すら持てない」という状況になっていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

平壌の情報筋によると、今年9月9日の建国70周年の記念日に向けて、市内では毎日のように集会の練習が行われている。

市内にある金日成総合大学、金策(キム・チェク)工業大学、金亨稷(キム・ヒョンジク)師範大学、金哲柱(キム・チョルチュ)師範大学などの学生の他にも、工場、企業所、勤労団体のすべての若者たちが行事の練習に動員され、「万歳!」や様々なシュプレヒコールを叫ぶ練習を延々させられている。

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北朝鮮の大学は今、15日間の夏休みに入っているが、動員された人々が多いため、市内中心部の通りは人でごった返し、蒼光(チャングァン)通り、金日成広場、人民大学習堂、チュチェ(主体)思想塔の周辺では、交通渋滞が起きるほどだという。

連日繰り返される練習に、若者たちは極めて強い不満を持っている。集会が長時間に及ぶ場合は自由にトイレにも行けず、食事もろくに取れない。この点、自身もトイレで不便な思いをしている金正恩党委員長ならわかっているはずだ。

(参考記事:金正恩氏が一般人と同じトイレを使えない訳

特に地方出身の学生は練習で夏休みをつぶされ、実家に帰ることもできず、平壌出身の学生以上に不満を持っている。

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いくら嫌だからと言っても、サボったり遅刻したりすれば、行事の後に行われる総和(総括)で激しい批判にさらされるので、行くしかないのだ。

そこで学生たちはこんな不満のぶつけ方をしている。シュプレヒコールを叫ぶときに、下品で汚い言葉を混ぜて不満をぶちまけるのだ。

具体的にどのような言葉なのか情報筋は言及しなかったが、おそらく言及するのがはばかられるほどの汚い言葉だったのだろう。

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また別の若者たちは「頭のスイッチを完全に切って」苦痛を耐え忍ぼうとしている。

別の情報筋によると、練習に参加させられた若者たちは、どのようなシュプレヒコールを叫ぶのかについて関心すら持とうとせず、後ろの方でシュプレヒコールを叫ぶふりをしたり、口から出まかせをいったりして、ともかく時間が過ぎるのを待つというのだ。

「今年4月の太陽節(金日成主席の生誕記念日)の行事に参加させられた学生に何の行事だったか尋ねたところ、『わからない』という答えが返ってきた」(情報筋)

北朝鮮で最も重要な日である太陽節の関連行事であることすら知らず、まるで夢遊病のように何かを叫ぶだけの学生の姿に、情報筋は衝撃を受けたと述べた。

金正恩氏はちょくちょく、「これからは若者(の時代)だ」と語って青少年重視の姿勢を示しており、そのため若者が動員される集会も増えているのだが、まさにそのことが若者たちの不満につながっていると思われる。

「平壌で開かれるすべての行事では、若者たちを前に立たせるようになり、その不満は限界レベルに達しつつある。彼らは形ばかりの行事への参加を強制し、忠誠心を強いる当局に対して、露骨に反感を示している」

当局は建国記念日を控え、風紀取り締まりの一環として、若者に対して「デートをするな、歌うな、踊るな」「奇抜な格好をするな」などと締め付けを強化しているが、これも強い不満の一因だろう。

このままでは若者の支持を失いかねないが、金正恩氏はどのような対策を取るのだろうか。