北朝鮮国民「食べ物の恨み」が金正恩氏を追い詰める

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北朝鮮メディアは13日、金正恩党委員長が平安南道(ピョンアンナムド)にある雲谷(ウンゴク)地区総合牧場を視察したと伝えた。

金正恩氏は今年に入り、軍に対する視察を一度も公開しておらず、国内メディアで視察が紹介されたのはすべて民生部門だ。中には軍が管轄する食品工場なども含まれているものの、北朝鮮においては末端兵士が公共事業で主要な役割を担っていることを考えれば、これもやはり民生部門の一部だと言える。

金正恩氏がこのような活動を積極的に公開する目的はただひとつ、「民を思う慈愛深き指導者」を演出しているのだろうが、その目論見はどうやらうまく行っていないようだ。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、平安南道のある住民は牧場視察のニュースに接し、次のように不満の声をもらしたという。

「雲谷地区の総合牧場は金日成主席の時代から、牛や豚、キジなどの食肉を生産し、最高首脳部に供給してきた『主席農場』だ。このような施設を視察することが、庶民の生活向上にどのように役立つというのか」

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なし崩し的な市場経済化が進む北朝鮮では、「トンジュ(金主)」と呼ばれるニューリッチが出現し、それなりに豊かな生活を営むようになっている。それでもやはり、最も豪華な生活を送っているのは金正恩ファミリーとその取り巻きたちであり、彼らの手に入らないものはないとも言われる。

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また、カネだけではなく権力まで握った彼らは、まさにやりたい放題だ。

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庶民にとっては、そんな彼らの行状について噂を聞くだけでも腹立たしいのに、絶対に自分たちの口には入らない牧場の牛たちの写真を新聞にデカデカと掲載されては、頭にきて当然というものだ。前出の事情通は、次のように続ける。

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「この牧場で生産される食肉は、最高尊厳(金正恩氏)の食卓に上がるものであるだけに、使われている飼料は、庶民が日頃食べているものよりも格段に栄養価が高い。こんな施設を視察して民生を云々するとは、現実を知らないにもほどがある」

北朝鮮の食糧事情は、かつてと比べれば相当に改善しているが、それでもまだ、供給力はぜい弱なままだ。そのうえ今年は、猛暑の影響で収穫が危ぶまれている。

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金正恩氏はどうせ視察するなら、庶民がもっと期待を持ちそうな現実的な対象を選んだ方が、国のためにも自分のためにもなるだろう。

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特に、食べ物のことで、あまり国民を刺激すべきではない。何不自由なく育った金正恩氏にはわからないかもしれないが、「食べ物の恨み」は怖いのである。

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