北朝鮮国内で「仁義なき戦い」…「軍vs突撃隊」流血の抗争

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デイリーNKの内部情報筋によれば、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の端川(タンチョン)水力発電所の建設現場で最近、軍の兵士らと道の外貨稼ぎ機関である金剛指導局傘下の突撃隊(建設部隊)の衝突が起き、物議を醸しているという。

ド迫力の動画

事件は、建設作業に必要な工具を準備せよとの命令を受けた兵士たちが、突撃隊の倉庫を襲撃、工具を強奪して行ったことがきっかけだった。倉庫係から報告を受けた突撃隊の中隊長は、屈強な隊員数人を引き連れて工具を取り戻しに行った。ところがツルハシやハンマーなどでメッタ打ちに遭い、1名がその場で死亡し4名が重傷を負わされてしまった。

情報筋はその後の展開について触れていないが、突撃隊による報復が行われた可能性は十分にある。

北朝鮮にも暴力団組織のようなものがあり、乱闘騒ぎもときどき起きている。

ひとたび乱闘が起きると、死人が出るほど非常に激しいものになると聞いていたが、今年3月にはロシアの地方都市で北朝鮮労働者とタジキスタンの労働者が乱闘を繰り広げ、そのもようが動画に収められた。Vesti.ruが報じた動画には、石やシャベルのようなものを手に持ち、双方入り乱れて大暴れする様子が収められている。まるでヤクザ映画のようなド迫力である。

(参考記事:【動画】北朝鮮労働者とタジキスタン労働者、ロシアで大乱闘

金正恩氏の「恐怖写真」

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しかし今回の事件を起こしたのは、いずれもれっきとした公的組織だ。国家が国民を厳しく統制している北朝鮮で、なぜこのようなことが起きるのか。

舞台となった端川水力発電所の建設は、日本の統治時代から構想90年にわたる北朝鮮史上最大のプロジェクトであり、金正恩党委員長が完遂を厳命しているものだ。現場には全国各地の様々な集団から、建設部隊が派遣されている。

それぞれの部隊は所属する集団の上層部から、「何が何でも建設に貢献すべし」との使命を帯びている。この事業でどのような評価を得るかが、その集団に対する金正恩氏の評価に直結し、配給や外貨稼ぎの利権など経済的利益を得る道にもつながるからだ。

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もちろん、派遣された部隊員たちもそのことを熟知している。ここに、日本の敗戦直後のヤクザの親分のようなカリスマと暴力性を持つリーダーが加わると、他を蹴散らしてでも上を目指そうとするエゴイズムが生じるのだ。

それでも、労働環境がまともならば、このような事件にまでは発展しないだろう。しかし、国家は建設作業に必要な資材や道具を満足に供給しておらず、現場では死亡事故が多発している。

そのことは、金正恩氏が別の建設現場の視察を行った際に公開された「恐怖写真」を見てもわかる。

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国家の横暴と無責任が、国民の胸に殺伐としたものを芽生えさせ、不要な争いを誘発しているのだ。