「母性本能を失い堕落した変態」北朝鮮が韓国女性を侮辱

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北朝鮮は韓国との対話を進めながら、国内では韓国社会を誹謗する政治講演会などの思想教育を行っている。中朝国境地域で行われた講演会では、韓国で起きた凶悪犯罪を例に挙げて、北朝鮮の体制が優れていると宣伝している。韓国に対する拒否感を高め、資本主義的文化の浸透を抑えようとする意図があるようだ。

デイリーNKが最近入手した「沿線(国境)住民政治事業資料」では、南朝鮮(韓国)は「人間としての情が乾ききるにとどまらず、母性愛すらなくなった社会」であるとして、「(韓国が)われわれ(北朝鮮)の内部に資本主義に対する幻想を醸成しようと悪辣に策動している」と主張している。

資料は、親が子どもを虐待して死に至らしめ、遺体を山に埋めたという事件と、キリスト教の牧師とその妻が中学生の娘を虐待死させ、「祈れば生き返る」として遺体を自宅の部屋で11ヶ月も放置したという猟奇事件を例に挙げ、韓国を「人間生き地獄」と表現している。韓流ドラマや映画で「韓国は豊かな国」というイメージが北朝鮮でも定着しているが、それをひっくり返そうと必死になっているようだ。しかし実際のところ、韓国より北朝鮮の方が殺人事件の発生率は高いのだ。

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国連薬物犯罪事務所の集計では、韓国の殺人事件発生率(2016年)は10万人あたり0.70件で、世界で最も殺人事件の少ない国の一つだ。一方で北朝鮮の殺人事件発生率(2015年)は10万人あたり4.4件。世界平均の6.2件よりは低いものの、韓国、日本やアジア平均の2.9件よりはるかに高い。

もちろんここには、国家権力による「合法的な殺人」は含まれていない。

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北朝鮮の韓国への誹謗中傷は、とどまることを知らない。北朝鮮当局の考える韓国女性は「子どもが人生の模範とすべき高尚で立派な母は、どこを探しても見つからない」「母としての本能すらも失い、変態的で堕落した生活をしている」というものだ。

これが言いがかりであることは説明するまでもないことだが、むしろ「変態的で堕落した生活」は、権力者のやりたい放題に歯止めのかからない北朝鮮にこそ見られる。金正恩党委員長の側近のひとりである崔龍海(チェ・リョンヘ)朝鮮労働党副委員長は、その典型例と言える。

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金正恩氏は、韓国よりも北朝鮮社会の方が健全であるというならば、外国の報道機関に自由な取材を許し、客観的に検証させれば良いのだ。それが出来ないところにこそ、北朝鮮社会の「ヤバさ」が潜んでいるのである。

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高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記