北朝鮮国営の朝鮮中央通信は19日、「日本は深く考えてみるべきだ」と題した論評を配信。日本が北朝鮮に対する国際的圧力の維持を訴えていることを非難した。北朝鮮メディアは最近、米韓に対する非難を控えながら、日本に対しては従来通りの論調で攻撃を続けている。

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「日本が相変わらず『国際的な対朝鮮圧力』を唱えている」との言葉で始まる論評はまず、「年頭からわれわれの主動的かつ平和愛好的な措置によって和解と緊張緩和の局面に入った地域情勢の流れを一番快く思わず、ブレーキをかけようと振る舞った日本の醜態は口にすることさえ鼻持ちならないほどである」などとして、日本の「安倍外交」を非難。

続けて、「わずか数カ月前までだけでも軍事的衝突の危険が極に達していた朝鮮半島と地域に平和と安定の雰囲気が到来し、はては数十年間持続してきた敵対的な朝米関係が時代発展の要請に即して画期的に転換される大きな出来事が起こった」としながら、「これは、対話と協商を通じて現実的な方法で問題を解決するのが大勢になっているということを示している」と指摘した。

さらに、「日本の行為はむしろ、自ら自分らを孤立させる結果だけをもたらした」「なぜ、日本だけが地理的に近い朝鮮と『遠い国』になっているのか」などと主張している。

まさに、米朝首脳会談の成功に気を良くした金正恩党委員長が、安倍晋三首相に「お説教」を垂れているような構図である。北朝鮮のメディア戦略は金正恩氏が直接指揮しており、こうした論評は彼本人の言葉であると理解して差し支えなかろう。

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しかしそもそも、北朝鮮が無茶な核兵器開発などしなければ、北東アジア情勢はよほど静かで安定していたはずだ。そのような認識が完全に吹っ飛んだ勝手な言い分である。

さはさりながら、この論評からはひとつのメッセージを読み取ることができる。日本は、「国際的な対朝鮮圧力」といった主張をするな、ということだ。

思い出すのは、米朝首脳会談が行われる10日前、事前調整のため訪米した金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長と会談したトランプ米大統領の発言だ。トランプ氏は記者団に対し、「北朝鮮は非核化を望んでいる。金正恩氏は非核化に専念していると信じる」と述べるとともに、「北朝鮮にこれ以上『最大限の圧力』という用語を使うことを望まない」と言ったのだ。

北朝鮮側はおそらく、「圧力に屈する形で非核化することはできない。だから『最大限の圧力』という言葉は使わないで欲しい」と持ち掛けたのではないか。金正恩氏はほかにも、トランプ氏に「お願いごと」をしたはずだが、とりあえずはこれが、米朝間でひとつの約束事になったのではなかろうか。

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では、日本政府はこれからどうすべきか。言うべきことはハッキリ主張し続けるべきであると筆者は考えるが、同時に、相手がどういう考えを持っているのか慎重に探ることも必要だろう。

ただでさえ、日朝間の意思疎通は難しくなっている。近年、北朝鮮は対日関係に関心を失っており、「知日派」と言えそうな人材も乏しい。むしろ、大阪にルーツを持つ金正恩氏が、それでも日本に関心を持っている方かもしれない。

(参考記事:金正恩と大阪を結ぶ奇しき血脈

日本政府が将来の日朝関係をどのように構想するにせよ、安倍首相と外務当局は当面、難しいかじ取りを求められることになりそうだ。

高英起(コウ・ヨンギ)

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1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記