北朝鮮軍の大佐「落書きしまくり」で公開処刑か

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最近、北朝鮮の首都・平壌の中心部にある重要施設「4・25文化会館」で金正恩体制を非難する落書きが発見されたが、その犯人として朝鮮人民軍(北朝鮮軍)総参謀部の大佐が逮捕され、公開処刑されたと消息筋が伝えてきた。

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平壌の情報筋は7日、デイリーNKの電話取材に対し、「軍作戦局上級参謀の大佐ともうひとりが3月末、平壌郊外にある姜健(カン・ゴン)総合軍官学校で、自動小銃で銃殺された。4・25文化会館などで体制に反対する内容の落書きを行った疑いを受け、容赦なく殺されたのだ」と話し、次のように説明を続けた。

「今回の処刑は、平壌地域の保衛部(秘密警察)と軍の幹部だけを集めて、静かに実行された。家族はどこかに連れて行かれたが、おそらく管理所(政治犯収容所)行きになったのだろう」

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情報筋はさらに、「銃殺された上級参謀は両江道(リャンガンド)と江原道(カンウォンド)に駐屯している各軍団の訓練状況を視察し、上層部に報告する任務に携わってきた。この約3年間、あちこちの地方を回りながら、金正恩体制に反対する落書きを書きまくっていたらしい」と話した。

ここで言われている「3年にわたる落書きしまくり」が、大佐の自供によるものなのか、それとも北朝鮮当局の一方的な主張であるのかは、まだわからない。だが、この言葉が事実ならば、これまで北朝鮮国内から伝えられた各種の落書き事件の多くを、この大佐が主導した可能性があるということだ。

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情報筋はまた、「(当局は)処刑に際し、『(犯人が)黒いカネを受け取り、一次的な誘惑に負けて反逆行為を働いた』と主張した」と伝えた。

北朝鮮はこれまで一貫して、韓国の国家情報院が自国に謀略を仕掛けてきたと主張している。ここで出た「黒いカネ」というのも、それを意味していると思われる。またそのことを強調することで、内部の思想的な結束を強める効果を狙ったのかもしれない。

ちなみに金正恩体制になって以降の公開処刑では、大口径の4銃身高射銃で、人体をミンチにするような手法が用いられてきた。

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3年間も反体制的な落書きを書いてきた犯人ならば、こうした殺され方をしてもおかしくなかったはずなのだが、今回は自動小銃が用いられたという。

もっとも、自動小銃でもじゅうぶんに強力であり、1人に対し10発も撃ち込んだというから、遺体はズタズタである。それでも大型の高射銃を使わなかったのは、過去に衛星写真で処刑場面が捉えられ、海外で問題視されたのを気にしているからではないだろうか。

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高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

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