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北朝鮮の金正恩党委員長は最近、朝鮮人民軍(北朝鮮)の保衛司令部、国家保衛省(秘密警察)など、体制を支える諜報機関の人員の世代交代を進めている。定年間近のベテランをクビにして、若い人材に総入れ替えするという大々的なものだ。

北朝鮮の高位幹部はデイリーNKに、金正恩氏が次のような特別指示を下したと伝えた。

「国家保衛省と保衛司令部の要員を養成する保衛大学と保衛政治大学の卒業生から、党に忠実で優秀な者を選んで採用し、今いる反探(反スパイ)要員と交代させよ」

指示に従い、海外駐在の要員、次いで平壌とその周辺地域にいる要員のほとんどが交代させられたのことだ。

金正恩氏が同時に強調したのは「反探要員は我が党の親衛隊、城塞であり、若く能力のあるメンバーでなければならない」「何よりも北朝鮮式の海外反探人材の力量を構築する事業を中心に置き、推し進めるべきだ」という点だ。

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今回の指示について情報筋は、金日成主席と金正日総書記の色に染め上げられた体制を自分色に染め直し、より強固にすることを考えているようだと見ている。

金正恩氏はかねてから「50〜60代の要員を若者に入れ替えろ」と頻繁に口にしていたという。また、年配の要員は、表向きは忠誠を誓うフリをしつつ、裏では別のことをしている陽報陰違(面従腹背)で、能力がないとも考えていたようだ。ちなみに、新たな人員の選抜においては「高い専門性」が基準の一つとなった。

また、最近これら諜報機関の内部で高まりつつあった不満の一掃という側面もあると情報筋は指摘した。

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北朝鮮は、国際社会の経済制裁により深刻な外貨不足に陥っていると伝えられているが、その解消のため、なりふり構わぬ外貨稼ぎ事業を行っている。要員の間では、厳しくなる一方の外貨稼ぎノルマに対する不満が渦巻いていたと情報筋は指摘する。つまり、今回の人員入れ替えには内部の不満分子を一掃する目的もあったということだ。

一方、新たな要員を選抜するにあたって、最も重要視されたのはかつてのような「出身成分」(身分)ではなく「忠誠心」だったという。ここから見て取れるのは、世代交代と言う名の粛清だ。

金正恩氏は、金日成氏とともに抗日パルチザンとして活動し、北朝鮮建国後に支配階層として君臨してきた同志の一族に対する粛清を行っていると伝えられているが、今回の世代交代もその一環と見ることも可能だろう。

(参考記事:金正恩氏が1千人を処刑し家族ら2万人を粛清か…脱北高官ら証言

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「チャンマダン(市場)世代」と呼ばれる北朝鮮の20〜30代は、国の配給、無償医療、無償教育などの恩恵を受けずに育ち、体制に対する忠誠心が低いと言われている。また、幹部として登用されるより、経済的な利益を得ることを重要視する特徴もある。

情報筋は、金正恩氏がそんな若者に「権力とカネの味を見せつけて、自分に忠誠を誓うしかない構造を作ろうとしている」と見ている。