最高指導者に仕える奉仕員、喜び組のメンバーとして教育を受けた彼女は、高級幹部の間でも注目の的となった。夫や子どもを顧みず、朝鮮労働党作戦部所属の連絡所長(工作員の指揮官)など数多くの幹部と浮名を流した。浮気相手と、同棲したことすらあったようだ。
そんな彼女に最初の危機が訪れた。夫が麻薬を使用した容疑で当局に摘発されたのだ。彼女は職場から追われた夫と離婚し、強力なバックを失ってしまった。その頃に出会ったのが、張成沢だった。
その経緯は詳らかでないが、当初は単なる「体目当て」の関係だったようだ。張成沢は彼女に会うたびに、数千ドルもするアクセサリーをプレゼントした。一種の口止め料だった。