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平安南道(ピョンアンナムド)順川(スンチョン)市にある外貨稼ぎ会社「綾羅(ルンラ)88貿易会社」。かつては地域で人気の会社だったが、最近は人気が急落して辞める人が続出している。

縫製工場兼ピザ屋で外貨稼ぎ

綾羅88貿易会社とは、朝鮮労働党財政経理部傘下の外貨稼ぎ機関。石炭、鉄鉱石などの地下資源から医薬品、酒類、衣類、健康食品などを中国に輸出して外貨を稼いている。収益は労働党財政経理部に上納する。また、金正恩の名で労働党幹部らに支給される「プレゼント」の調達も行っている。

順川支社では中国と合弁で衣服の生産、輸出を行っている。中国から服地やデザインを輸入して服に仕立てて再度中国に輸出する。それに加えてピザ屋の経営も行っている。

平安南道のデイリーNK内部情報筋はこの会社について次のように説明する。

「順川の大同江沿いにある3階建ての建物が順川支社。正面には『綾羅88貿易会社』の大きな看板がかかっている」

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「1階はピザ屋で2階と3階は縫製工場。10代、20代の女性150人が服を作っている」

「彼女らの給料は2万ウォンと国営企業の7倍ほどになるが、外貨稼ぎ会社の中では最低レベル」

頼りにならない配給より現金収入が魅力

外貨稼ぎ会社では通常の配給に加えて祝日特別配給もあるので、給料は安くても経済的な問題は解決できることから多くの女性が働いている。

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しかし、綾羅を辞める人が増えているとのことだ。配給は魅力的でも、商人に雇われたほうが給料も10倍高く労働条件もよいため、低賃金に見切りをつけて転職する女性が増えているのだ。

「酒屋やお菓子屋で働けば月20万ウォン(約2800円)はもらえるのに綾羅で働いても2万ウォン(約280円)しかもらえず、労働環境も悪い」(内部情報筋)

綾羅も手をこまねいているわけではない。国営の輸出用の布を作る国営工場での勤務経験のある女性を見つけては声をかけているが、反応は芳しくないとのことだ。「給料を上げて労働環境を改善しなければ、生産意欲が下がって輸出に支障が出かねない」と内部情報筋は指摘している。