北朝鮮で「恋愛リアリティショー」にはまった若者たちの残酷な運命
北朝鮮の若者たちの間で、韓国の恋愛リアリティー番組をまねた“危険な遊び”が密かに広がり、ついには数十人規模の摘発と重罰に発展した。閉ざされた炭鉱の町で、自由恋愛や個人の感情を率直に表現する韓国型の恋愛文化に魅了された若者たちは、束の間の夢の代償として、教化所(刑務所)送りなどの過酷な運命を突きつけられている。
デイリーNKの現地消息筋によると、平安南道の北倉地区青年炭鉱連合企業所傘下にある複数の青年炭鉱で働く若い坑夫らが先月までに、韓国の映像コンテンツを集団で視聴・流布していたとして当局に摘発された。治安当局によるスマートフォンやSDカードの抜き打ち検査で、韓国の映画やドラマ、バラエティー番組に加え、脱北者の韓国定着記録や旅行映像などを視聴していた実態が判明したのだ。中でも当局を強く刺激したのが、若者たちが韓国の恋愛リアリティー番組に深く影響されていた点だ。消息筋によれば、ある炭鉱の青年グループは番組をまねて男女が役割を分け、互いの好意を探り合う「仮想お見合いごっこ」に興じていた。誰と誰の相性が良いかを占い、性格診断「MBTI」の結果をもとに恋愛の相性を語り合うなど、韓国の若者文化をそのまま模倣していたという。
また、彼らは宿舎の地下倉庫など人目につかない場所に集まり、恋愛や結婚を「国家や組織のための義務」ではなく、「自分の感情で選ぶもの」として語り合っていたとされる。韓国人の服装、言葉遣い、振る舞いへの憧れも強く、「自由に恋愛し、自由に生きる」という価値観そのものに魅了されていた実態が浮かび上がる。
(参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命)
北朝鮮当局はこれを単なる風紀の乱れではなく、反動思想文化排撃法に抵触する重大な思想汚染と認定。公開裁判で「体制への反感を育て、国家の基盤を揺るがす反動的行為」と厳しく断罪した。初犯の単純視聴者であっても、事故多発で環境の劣悪な炭鉱への強制配置という懲罰が待ち、流布に関与した者や再犯者は教化所送りになる見通しだという。
しかし住民の間からは、「真っ暗な坑道の中で生きる若者たちにとって、画面の中の自由な恋愛は唯一の光だったのではないか」と同情の声も漏れたとされる。
国家が恋愛の形まで統制しようとする社会で、若者たちは画面越しに別の生き方の存在を知ってしまった。罪とも言えないその行為の代償は、あまりにも重いものとなった。
