北朝鮮の市場で穀物、輸入品価格が一斉に急騰していることが分かった。中朝間の旅客列車や航空便の再開を受け、外貨需要が急増した影響とみられる。とりわけコメやトウモロコシなど主食価格の上昇が顕著で、春の端境期を前に住民の食糧不安が一段と強まっている。

韓国デイリーNKの定期調査によると、15日時点で平壌の市場におけるコメ1キログラムの価格は2万4700北朝鮮ウォンとなり、今月1日の1万9700ウォンから約25%上昇した。平安北道新義州や両江道恵山など他地域でも同水準の値上がりが確認され、先月初めに1万5000ウォン台だった価格はわずか1カ月半で6割以上上昇した計算となる。

低所得層の主食であるトウモロコシの価格も急騰している。平壌では同日、1キログラム当たり8000ウォンに達し、2009年の通貨改革以降で初めて8000ウォン台に乗せた。今月1日(7200ウォン)比で約11%、今年2月初旬の最安値(3900ウォン)からは2倍以上に跳ね上がった。

こうした穀物価格の上昇は、北朝鮮ウォンレートの急落に加え、備蓄食糧の減少や端境期に伴う供給不足など複合的要因によるものとみられる。実際、国内では食糧が底を突いた「絶糧世帯」が増加しているとの指摘も出ている。

韓国のある民間団体関係者は「農村部を中心に絶糧世帯の増加ペースが例年より速い」と指摘し、「通常は4月から本格化する春の食糧難が、今年は前倒しで進行している可能性がある」との見方を示した。

為替の動きも急激だ。平壌の市場における対ドル相場は15日時点で1ドル=5万1300ウォンとなり、2週間で約24%下落、先月初めとの比較では4割超の下落となった。対人民元でも新義州で1元=6830ウォンと、同様に下落傾向を示している。

ウォン下落は輸入物価にも波及している。平壌の市場では食用油、砂糖、小麦粉の価格がいずれも2週間で約2割上昇した。

背景には、中朝間の人の往来再開への期待があるとみられる。今月12日から北京―平壌間の旅客列車が再開され、30日には同区間の航空便運航も予定されている。国境往来の正常化観測が外貨需要を押し上げ、市場の外貨レートを押し上げたとの分析が出ている。

北朝鮮内部では、停止状態にあった非公式貿易の再開観測も広がっているほか、人の移動増加に伴う物流拡大への期待も出ている。

統一研究院のチョン・ウニ北朝鮮研究室長は「旅客列車や航空便の再開が直接的に物価を押し上げたとは言い切れないが、中朝関係回復の象徴的な動きだ」と指摘。「人的往来が増えれば物流も拡大し、国境地域から市場全体へ影響が波及する可能性がある」との見方を示した。