米海軍の強襲揚陸艦を中核とする遠征部隊が3月中旬、米西部カリフォルニア州サンディエゴの海軍基地を出港した。米側は「インド太平洋地域での通常任務」と説明するが、中東情勢の緊迫化を背景に、ホルムズ海峡周辺への展開を視野に入れた増援との見方が広がっている。
出港したのは、強襲揚陸艦「ボクサー」を旗艦とする揚陸即応群(ARG)。ドック型輸送揚陸艦など計3隻で構成され、約2500人規模の海兵遠征部隊(MEU)を乗せる。正確な出港日時は公表されていないが、現地報道などから13日前後に出港した可能性が高い。さらに、別の強襲揚陸艦の動きも確認されている。米海軍の強襲揚陸艦「トリポリ」は17日、シンガポール沖のマラッカ海峡付近に位置していたとされ、同艦には中東に向かう海兵隊員らが乗艦している可能性がある。インド太平洋から中東へ向かう航路上にある同海峡は戦略的な要衝であり、複数の揚陸戦力が同方向へ収束しているとの見方も出ている。
強襲揚陸艦は短距離離陸・垂直着陸が可能なF-35B戦闘機や、輸送機MV-22オスプレイ、攻撃ヘリなどを搭載し、航空打撃と兵員輸送を一体で運用できる。「小型空母」とも称されるが、その本質は港湾施設に依存せず敵沿岸へ直接戦力を投入できる点にある。エアクッション艇やヘリボーンによる上陸を組み合わせることで、拠点の一時制圧や在外自国民の救出、限定的な地上戦闘まで単独で遂行可能とされる。
こうした能力は、今回の派遣の意味を複雑にしている。米政権は対イラン作戦を巡り、ドナルド・トランプ大統領が「地上軍は送らない」と明言する一方、「必要な軍事力を行使する」とも強調してきた。大規模な陸軍部隊による侵攻や占領は否定しつつも、選択肢は残す姿勢といえる。
