北朝鮮北東部の咸鏡北道で、首都・平壌の華城地区第5段階建設を支援するための大規模な物資動員と「突撃隊」選抜が進められている。だが、その裏側で聞こえてくるのは「死ねないから生きているだけ」という住民の沈痛な声だ。

デイリーNK内部消息筋によると、咸鏡北道党は先月20日、道内全域に対し「建設支援および突撃隊選抜」に関する緊急指示を下した。2月末までを「首都建設支援集中期間」と定め、全世帯に手袋や靴、作業服、さらには建設現場に送るコメや副食物の準備を義務付けたという。

各住民には「支援票」が配られ、誰が何をどれだけ拠出したかが細かく記録され、人民班ごとに総括される。事実上の強制割り当てで、従来より2~3倍の量が課されたとの証言もある。「忠誠心を平壌の建設現場で証明せよ」との政治的圧力が前面に出ている。

しかし地方の現実は厳しい。配給は途絶え、市場経済も統制強化と景気低迷で縮小。日々の生活すらままならない中での追加負担に、住民の不満は限界に達している。「手袋一組がどれほど貴重か分かっているのか」「なぜ地方が首都建設まで背負わされるのか」との嘆きが広がる。(参考記事:「いずれぜんぶ崩壊」金正恩自慢のタワマン、目撃者ら証言

さらに、華城地区に派遣される「咸鏡北道旅団」突撃隊の選抜も本格化。志願者がほとんどいないため、青年や技術者が半ば強制的に動員されている。これを避けようと病欠や離職、賄賂などの動きも出ているが、当局は「政治問題として処理する」と威圧しているという。

ある住民は「地方は死ぬほど苦しい。それでも死ねないから生きているだけだ」と吐露した。体制の威信を示す首都の高層住宅の陰で、地方住民の生活はさらに削り取られている。華やかな建設事業の裏側で、貧困と搾取に耐える人々の現実が横たわっている。