北朝鮮の住民や幹部の間で、金正恩総書記の娘・金ジュエ氏と妹の金与正氏の「地位逆転」を指摘する声が出ていると、米政府系メディアのRFAが伝えた。先月開かれた朝鮮労働党第9回大会以降、ジュエ氏の存在感が急速に高まっているとの見方が広がっているという。

きっかけとなったのは、先月27日に行われた狙撃銃の贈呈行事の報道だ。朝鮮中央テレビは、金正恩氏が党と軍の幹部に狙撃銃を授与し、射撃競技を視察する様子を大きく伝えた。

公開された映像では、ジュエ氏と金与正氏がそれぞれライフルを撃つ場面が映されているが、ジュエ氏の方がやや慣れた印象を与える。

写真では、ジュエ氏は単独で大きく紹介された一方、金与正氏は他の幹部と並んだ集団写真の中で掲載されていた。(参考記事:「妹じゃなきゃ処刑だ」金正恩と与正の微妙な権力均衡と”後継者ジュエ”登場の衝撃

RFAによると、北朝鮮内部の消息筋は「最近、幹部の間で金正恩の娘と妹の地位が入れ替わったようだという話が出ている」と語った。幹部の間では「娘が浮上し、金与正は後退している」との見方が広がっているという。

もっとも、筆者は完全な地位逆転というより、金与正氏が一歩後ろに退いた可能性があると見ている。ただ、武器贈呈の場面でも両者の立ち位置には違いが見られた。ジュエ氏は金正恩氏のすぐそばで授与を補佐する形だったのに対し、金与正氏は他の幹部と同じ位置に立っていた。

北朝鮮では公式の序列が明確に示されないことも多く、写真の配置や演出が政治的メッセージと受け取られることがある。今回の写真の構図も、権力内部の変化を示すシグナルではないかと注目されている。