北朝鮮の金正恩総書記が3月3日、朝鮮人民軍の狙撃兵射撃競技と海軍の新型駆逐艦の試験関連活動を相次いで視察した。今回の視察で注目されるのは、米軍によるイラン攻撃後、金正恩氏が初めて行った軍関連の公開活動である点だ。
今回の視察で特に目を引いたのは、最近の軍事行事に頻繁に同行していた実娘の金ジュエ(主愛)氏が不在だったことだ。ジュエ氏が必ずしもすべての軍視察に同行しているわけではない。しかし、米軍がイランに対して「斬首作戦」とも言える軍事行動を行った直後というタイミングを考えると、後継者の安全を考慮した可能性も排除できない。
国営メディアによれば、金正恩氏は「首都防御軍団」の基地で行われた射撃競技を観戦し、同日、新型駆逐艦の試験を視察して「核武装化に満足している」と明言した。
金正恩氏がことあるごとに核戦力強化を強調すること自体は珍しくないが、核を持たないイランが攻撃された直後というタイミングを考えると、米国に対するメッセージと読み取ることもできる。
もっとも、今回の視察で金正恩氏が米国やイラン情勢に直接言及することはなかった。国営メディアの報道も、訓練の成果や軍の戦闘力強化を強調する内容にとどまっている。
今回の軍視察は、海軍の核武装化を強調した発言やジュエ氏の不在という点を考え合わせると、米国の軍事行動を強く意識した動きだった可能性もある。
(参考記事:ハメネイ師の娘も殺害…「後継者ジュエ」の未来にも暗雲)
イラン攻撃は、核問題を抱える国家の指導部が軍事行動によって排除され得るという前例を示した出来事でもある。北朝鮮にとっては、体制の安全保障そのものに関わる問題だ。
海軍の「核武装化」発言とジュエ氏の不在――。
今回の金正恩氏の軍視察は、単なる軍事指導というより、米国の軍事力を強く意識した平壌からの静かなメッセージだった可能性もある。
