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北朝鮮で12日、金正恩総書記が参加の下、「和盛(ファソン)地区1万世帯住宅建設」の着工式が行われた。平壌市内に5万世帯の住宅を建設するプロジェクトの一環だが、北朝鮮国民の間では、「こんなに経済情勢が悪いのに、本当にできるのか」などと疑問の声が上がっている。

一方で、トンジュ(金主、新興富裕層)は浮足立っていると、平壌のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

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一連の住宅建設プロジェクトで、最も最初に工事が始まったのは寺洞(サドン)区域の松新(ソンシン)・松花(ソンファ)地区だが、あまり人気のある地域ではない。隣接する小龍洞(ソリョンドン)、冷泉洞(レンチョンドン)、トゥンメ洞などは平壌でも貧困層が住む地域とされ、犯罪の多発が伝えられている。

衛星写真で確認すると、無秩序に建てられた木造住宅がひしめいているのがわかるが、住宅建設現場にはそれらの地域を通らなければならない。

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一方、今回住宅建設が始まった和盛地区は、金日成主席、金正日総書記の亡骸が葬られている錦繍山(クムスサン)太陽宮殿に繋がる9・9節通りに繋がっている。そのことは、着工式の演説で金正恩総書記も触れている。太陽の聖地とは、錦繍山太陽宮殿のことだ。

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「わが党と政府が承認した首都建設展望計画に従って、太陽の聖地近くに位置しており、9・9節通りともつながっている和盛地区には、今後3年内外で数万世帯分の住宅や公共建築、サービス施設が立ち並ぶ壮大な市街が建設され、新しい住民行政区域が生まれるようになります」

場所が場所だけあって、入居者も幹部や国に功労のあった人々など、上流階級になると見込まれている。トンジュは和盛地区の住宅価格が上がると見ており、平壌はもちろん、地方大都市のトンジュまでこの地域に投資しようとしているとのことだ。

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また、和盛地区の政治的重要性だけにとどまらず、アクセスの良さも注目されている。松新・松花地区にはバスしかない一方で、和盛地区の近くには地下鉄が通っており、市内中心部までのアクセスがよく、平壌最大の市場である「統一通り市場」からも遠くなく、北朝鮮有数の卸売市場がある平城(ピョンソン)にも近い。

いくら北朝鮮で最も豊かな平壌と言えども、下級幹部はもちろんのこと、一般の労働者も、国から支給される給料と配給だけでは生きていけない。多くが、職場にワイロを支払って出勤扱いにしてもらい、市場で商売を営んで生計を立てている。そのため、市場へのアクセスの良し悪しは、住宅価格を大きく左右する。

「錦繍山太陽宮殿ビューだからと、コメが降ってくるのか」(情報筋)

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トンジュは、金正恩氏が着工式に出席したことから、和盛地区の住宅建設は難なく進むだろうと見ている。投資しても損をすることはないだろうと見ているのだ。

地方大都市のトンジュは、元帥様(金正恩氏)が工期通りの完成を保証してくれたとして、金策に走ってまで投資を行っているとのことだ。また、コロナ鎖国が解けても以前のように密輸ができるようになるかはわからず、国内の不動産に投資するのがより安全と見なしているようだ。

トンジュが投資ブームに沸く一方で、一般庶民からは懸念の声が上がっている。

「松新・松花の入居も計画通りに進んでいないのに、なぜ工事ばかりしようとするのかわからないと不満の声が上がっている」(情報筋)