環日本海経済研究所を統廃合へ 県方針 研究機能は県立大移行
新潟県を拠点にロシア極東や中国東北部、朝鮮半島など日本海沿岸国の情勢について調査・研究を続けてきた県出資法人「環日本海経済研究所(ERINA・エリナ)」(新潟市中央区)について、県が廃止・統合の方向で調整に入ったことが12日、分かった。県が進める行財政改革行動計画に基づく県組織見直しの一環。ERINAに対しては、国際情勢が変化し「環日本海」の枠組みの重要性が低下したとして、存続に批判的な声が上がっていた。
本県では、冷戦が終結した1990年代初頭から、「環日本海」を軸に対岸地域との国際交流や経済圏構想に取り組んできた。この動きをけん引したERINAが解体されれば、今後の県の国際政策にも影響を及ぼしそうだ。県は、財政危機に伴う行財政改革の計画が終わる2023年度末までに廃止したい考えだ。ただ、経済成長を遂げた中国や、資源が豊富なロシア全土にまで視野を広げた経済交流は引き続き重視するため、研究機能は残す方向で検討する。
研究機能については、20年度に国際経済学部を新設した県立大(新潟市東区)の魅力向上につながるとして、同大への統合案が有力視されている。既に関係者と調整を始めており、廃止とともに研究機能を移行したい考えだ。
ERINAは1989年に知事に就任した金子清氏が対岸交流の推進を掲げ、創設を提案。93年、新潟市や日本海沿岸の近隣県に呼び掛け、ロシア極東、中国東北部、韓国、北朝鮮、モンゴルを調査領域とする研究機関として開設した。
当初は環日本海諸国に絞った全国初のシンクタンクとして注目を集めた。研究報告誌を定期発行するほか、毎年新潟市で開く国際会議には各国の研究者が参加し、国際的な人的交流を推し進めた。
現在、県の出資比率が8割を占める。県は毎年の運営経費として1億5千万円の補助金を支給している。
このため、行財政改革で県出資法人が見直し対象となると、その一つにERINAが挙がった。外部識者を交えた点検作業では「県経済にどう貢献しているのか分からない」などと存続に批判の声が上がり、抜本的見直しは避けられない状況になっていた。
ERINAの廃止により、県は出資金30億円の返還を受けるほか、毎年支給している経費を削減できる。
ERINAの見直し方針は、22日に開会する県議会2月定例会で説明され、議論が交わされる見込み。
