北朝鮮で「風俗ビジネス」が活況…金正恩氏「指導」もゆるみ

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金正恩党委員長の号令の下、北朝鮮当局は昨年から「非社会主義現象」の取り締まりキャンペーンを大々的に繰り広げている。これは、当局が考えるところの「社会主義にそぐわない行為」を取り締まるものだが、長期に渡って続いたせいかゆるみが来ているようだ。

取り締まりの対象となっているはずの風俗業が、ここに来て活気づいていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。

両江道(リャンガンド)の情報筋は、最近になって恵山市内にカラオケ、飲み屋、ビリヤード場、宿泊施設などが増えていると伝えた。普通の民家で看板も出さずに営まれるこれらの店。当局の目を逃れて営業しているように見えるが、実は当局の黙認の下に営まれている。おそらくカネが動いているのだろう。

このような店では、女性奉仕員の姿が見られるという

「カラオケや飲み屋では客に求められば若い女性奉仕員を呼んでサービスさせる。彼女らはカネさえ渡せばいかなる行為もいとわないので、これらの店での売春が社会問題になっている」(情報筋)

(参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち

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北朝鮮では、このような店ができたり潰されたりを繰り返している。情報筋は、大飢饉「苦難の行軍」のころの1990年代末から2000年代初頭にかけ、地方都市にカラオケ、ビリヤード場、ビデオボックスなどが雨後のたけのこのようにできたが、資本主義の温床になるとして当局の取り締まりに遭い、姿を消していた。

しかし、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)、労働党、内閣系の貿易会社が運営するレストラン、マッサージ、サウナ、飲み屋などは営業を続けてきた。売春が絶えないため、当局は2016年に閉鎖の指示を下したが、未だにヤミで営業を続けている。

例えば、国の機関やトンジュ(金主、新興富裕層)が経営する民間のサウナにある、「夫婦湯」と呼ばれるVIPルームは、ラブホテル代わりに使われ、不倫の温床となっている。

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「駅前など人が多く集まるところにはビリヤード場、飲み屋、宿泊施設などが集まっており、営業を行っている。保安署(警察署)の機動打撃隊など複数の組織が毎日のように取り締まりを行っているとはいうが、そう言っているだけで実際これらの店は拡散する一方だ」(咸鏡北道<ハムギョンブクト>の情報筋)

駅前を中心に多数存在する「待機宿泊」と呼ばれる民泊でも、売春が行われている。

脱北者で韓国紙・東亜日報の記者であるチュ・ソンハ氏の著書『平壌資本主義百科全書』には、協力者の平壌市民の体験談として、こんなくだりが登場する。

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「仕事を終えた彼は家に帰ろうとポリ車(民間の運送車両)が止まっている駅前広場に突っ立っていた。するとある女性がやってきて「どうせ車は席が全部埋まるまで出発しない、席は取っておくからうちで食事をしていかないか」と服の裾を引っ張られた。こういう場合、大抵は売春だということを噂で聞いていた彼は、興味半分でついていくことにした」

「(食事を注文して待っていたところ)『かわいい女の子がいるんだけど、一緒に食事する気はないか』と聞かれた。そのまま同意したが『その値段が食事代に含まれて10ドル余計に払ってもらうことになるがいいか』と聞かれたので同意した。このように売春は露骨に表に出さず、食事代に含めて料金を取ることもある」

この彼は、ほとんど給料がもらえないという女性を不憫に思い、4万北朝鮮ウォン(約520円)を握らせて、何もせずにそのままその家を出たとのことだ。