「金正恩一族の醜い姿を確認した」北朝鮮エリートが苦渋の証言

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2016年に脱北して韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使がこのほど、個人ブログ「南北同行フォーラム」を開設した。

自身の講演やコラムを紹介するもので、ハングルのほか英語版と中国語版もある。太永浩氏はブログの紹介文で、「私が韓国に来てみると、北朝鮮について多くの分野でよく理解されておらず、私もやはり、韓国についてわかっていなかったと思い知らされました」「私のブログが、統一のその日まで、北と南のコミュニケーションの架け橋になることを願います」などと書いている。

たしかに太永浩氏の言うとおりで、北朝鮮と韓国は同じ言語を使用しているにもかかわらず、驚くほど互いの情報や知識が共有されていない。その主な要因は北朝鮮の閉鎖性にあるわけだが、それと同時に、金正恩体制の実態が韓国人の常識からはみ出し過ぎているからでもある。

たとえば、ブログには「張成沢(チャン・ソンテク)粛清事件が北朝鮮社会に及ぼした影響」というコラムが掲載されているのだが、これを読んで、どれだけの人々がそのリアルな光景を思い浮かべることができるだろうか。張成沢氏は2013年12月に処刑された、金正恩党委員長の叔父である。

本欄でも、太永浩氏の著書『3階書記室の暗号 太永浩の証言』(原題)から引用する形で紹介してきたとおり、張成沢氏の粛清は北朝鮮社会に大きな衝撃を与えた。

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同氏はコラムに、次のように書いている。

〈張成沢事件が私をはじめ、北朝鮮の人々に大きな衝撃を与えたのは、単に金正恩の無慈悲な粛清のためだけではない。張成沢の不正を暴露する判決を通じて、北朝鮮の人々は、これまでベールに包まれていた金氏一族の醜い姿を確認したのである。 判決文では、張成沢が複数の女性と不倫関係を持ち、海外に出れば数百万ドルを賭博場で使い果たし、薬物も使用したとされている〉

ただ、これは張成沢氏ひとりの問題ではない。金正恩氏の最側近のひとり、崔龍海(チェ・リョンヘ)朝鮮労働党副委員長を筆頭に、権力層の腐敗は広範囲にわたっている。

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また、太永浩氏はこうも書いている。

〈実際、これは張成沢の不正でもあるが、金正日の不正でもあるのだ。(中略)私はこのような北朝鮮政権に奉仕するということ自体が恥ずかしかった〉(参考記事:【動画アリ】ビキニを着て踊る喜び組、庶民は想像もできません

北朝鮮国内には今も、太永浩氏と同様の思いを抱くエリートは少なくないはずだ。そのような人々と我々との「架け橋」が築かれたときこそ、北朝鮮のあるべき未来が見えるのかもしれない。