朝鮮労働党機関紙の労働新聞は4月14日、北朝鮮が「分散型操縦システム(DSC)」の国産化に成功したとする記事を掲載。その中で、同システムの核開発への導入を示唆して注目を集めている。

DSCは、日本では一般的に「分散制御システム」と呼ばれる。制御を一極集中するのではなく必要な情報のみを各工程の制御装置で共有するもの。制御装置はネットワークで接続され、相互に通信し監視し合う。1975年に誕生し、ITの発展とともに高度化が進んでいる。

北朝鮮による過去の導入事例などに関する情報はないが、仮に北朝鮮が工業生産システムの高度化に成功したならば、核・ミサイル開発能力が向上する可能性もある。

労働新聞2015年4月14日付
労働新聞2015年4月14日付

北朝鮮はかつて、工業力の向上を目指すうえで合法・非合法を問わず日本製の精密機器の導入を図って来た。そうした経緯を考えれば当然、北朝鮮版DSCの正体をさぐることは、日本の外事公安機関の重要な使命であるとも思える。

しかし公安関係者によれば、「外事警察がいま調べているのは、マツタケの不正輸入と不動産(総連本部ビル)のことくらい。海の向こうの生産システムのことまで視野に入れられる人間はほとんどいない」という。

以下に、労働新聞2015年4月14日付に掲載された記事「10月の大祝典場に向かって/人民経済の近代化、情報化の実現を推進する先端科学研究成果/わが国で分散型操縦システムの国産化を実現」の主要部分を翻訳して掲載する。

こんにち、世界的に生産工程のCNC化、無人化には、分散型操縦システム(DCS)と呼ばれる専用操縦装置が利用されている。分散型操縦システムは、変化する現場の条件に柔軟に対処する目的から、世界的に1990年代から開発導入され始めた生産工程操縦を実現する手段として、初期には工程自動化のためのひとつのシステム構成方式として出現した。

科学技術と経済が密着して発展するにつれて、分散型操縦システムはこんにち、高い操縦性能を担保する分散処理機と信号入出口装置、信号変換器を装備した工程操縦装置と自動化システムを構成するための専用プログラムツールが一体化された製品に発展し、その操縦性能を絶えず向上させ、システム管理と情報の統合をより柔軟に実現する方向で継続的に更新されている。

大規模な生産企業で、こうした分散型操縦システムを利用して、部門の生産工程の操縦システムを構築すれば、全体的な生産工程のCNC化、無人化を簡単に実現することができるだけでなく操縦性能を向上し、管理運営もより便利にすることができる。

分散型操縦システムは、現在、原子力工業、化学工業、セメント工業などの大規模連続生産工程において、自己の地位を確固たるものにしている。

しかし、その操作体系と自動化専用プログラムツールの内部プログラムは、発展したとするいくつかの国の独占物にされているので、利用者は全く見られない。ただ提供された機能のみを利用して、該当する対象の操縦システムを構築するようになっており、製品の1機当たりの価格も非常に高いという。数年前、莫大な資金を投じて外国から分散型操縦システムを購入し、核施設の操縦システムを構築したある国で、制作会社がシステムの内部に人為的に積載しておいた不純プログラムによって運営中に大きな被害を受けたという事実は、すでによく知られており、このシステムを国産化することが持つ重要性を強く示唆している。

最近、私たち共和国を標的とする不純敵対勢力の情報技術分野での謀略策動がさらにひどくなり、先端科学技術分野の封鎖がより徹底して悪辣になっている状態で、私たちの国で分散型操縦システムを独自に開発し導入することは、私たちがよく暮らして強盛となることを望まない敵のあらゆる妨害策動を粉砕し、生産工程のCNC化、無人化をわれわれ式に実現し、さらには知識経済を建設するうえで非常に重要な問題のひとつとして表れている。所長チェ・ソン同務(トンム=同志と似た呼称)をはじめとする工業情報研究所の幹部と科学者たちは、わが地に足つけ目は世界を見る強い民族的自尊心と度胸を抱き、一部の国の独占物のようにされている分散型操縦システムをわれわれ式に開発するための高い目標を大胆に立て、その実現のための最先端突破戦を力強く展開した。

活動家の力強い組織政治事業と以身作則の模範に従って、室長であるキム・リョンドン、チョ・ソクチョル同務たちと研究士たちであるキム・チャンイル、リム・ギルホ、キム・ガンホ、ハン・チョルスン同務をはじめとする30代、20代の青年科学者たちは決死の覚悟を抱いて奮い立ち、隘路と難関をくぐりぬけながら、われわれ式の分散型操縦システム開発のための頭脳戦に青春の英知と情熱を残らずささげた。

この日々において科学者たちは、分散型操縦システムの基本装置である分散プロセッサをわれわれ式に作ることから提起される問題をはじめ、数多くの科学技術的問題を解決した。これに基き、私たちの実情に合わせて製造コストが安いながらも安定性と信頼度が保障された分散型操縦システムを設計し、それに必要な埋没型操作体系と自動化専用プログラムツールを開発し信号変換器、リモート入出口装置をはじめとするいくつかの種類のパーツを研究製作した。

結果、2年余りの期間に、リアルタイム処理能力と、多重課題スループット、システムの安定性をはじめとする一部の主要な技術指標と性能で世界の先進レベルに到達するわれわれ式の分散型操縦システム「未来102」(1.0版)を開発することに成功し、導入対象の規模と内容に応じて系列生産できるように、15個の系列に規格化した。

このシステムで生産工程の調整システムを構築する場合には、従前のように操縦とインターフェース、管理、通信などに関するすべてのプログラムを専門家がひとつひとつ作成する過程が必要なく、ただ現場と関連している入出口信号を現場信号アドレス表に基づいて工程操縦盤に配線して、自動化専用プログラムツールを利用して自動操縦と論理構成プログラムと総合監視制御装置インターフェース・プログラム、システム管理プログラムなどを作成して実行させれば良い。したがって、専門家に限らず、現場の技師たちにも独自に生産工程の操縦システムを容易に構築でき、運営過程でシステムを拡張したり、新しい機能を追加して入れることもできる。

開発者たちの見解によると、この分散型操縦システムでは、従前なら7年という長い期間がかかった15個の部門生産工程からなる大規模な連続生産工程の調整システムの確立を、たったの2週間あれば実現できるという。

このシステムは、現在、世界的で開発?販売されている一体化された製品の合計価格で70%を占める埋没型操作体系と、自動化専用プログラムツールをはじめとする知的製品がすべて国産化されてあるので、これを構築するのにかかるコストは、丸ごと輸入する場合に比べて1/3以下にしかならないという。

研究所の幹部と科学者たちは、分散型操縦システムを開発したのに満足せず、現場の幹部と労働者階級の積極的な支持の下、順天化学連合企業所と江界ブドウ酒工場に成功裏に導入した。そして、順天化学連合企業所のあるひとつの重要生産工程で製品の合格率を従来の3倍以上に高め、江界ブドウ酒工場の生産工程全般を自動化し、包装工程の無人化を実現するために大きく貢献した。

われわれ式の分散型操縦システムが開発導入されることによって、われわれの技術は、われわれの力で人民経済の各部門にこのシステムを構築し、さらに発展させていくことができるしっかりした科学技術的土台と経験が蓄積された。また、生産工程のCNC化、無人化を一日も早く実現するための、私たち党の政策の正当性と生命力を実践的に証明することができる、もうひとつの頑丈な担保が用意された。

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