在日本朝鮮総連合会(総連)中央本部の土地・建物が、競売で落札した香川県高松市の不動産会社マルナカホールディングスから、山形県酒田市のグリーンフォーリストに44億円で転売されるニュースが話題を呼んでいる。しかしマスコミ各社の報道に、総連本部ビルがいったいどういうもので、それが転売されることにどのような意味があるのかを解説したものは、あまり見られない。ここでは、総連発行の資料や総連関係者の証言をもとに、総連本部ビルの知られざる歴史と実態を解説する。(1月31日更新)

靖国神社をのぞむ好立地

報道で一般的に「総連本部」と呼ばれる東京都千代田区の建物は、正式名称を「朝鮮会館」という。

JR飯田橋駅西口を出て外堀公園の遊歩道を市ヶ谷方面に進み、東京逓信病院の手前を左に折れると、外塀に青瓦をのせた建物が坂の上に見える。これが朝鮮会館だ。

春には、外堀公園の桜並木を目当てに辺りを散策する花見客も少なくないが、機動隊員が警戒の目を光らせるこの一角だけは空気の華やぐことがない。

航空写真を見ると、ちょうど法政大学と白百合学園、靖国神社、角川書店に囲まれた位置にある。しかし付近に立てられた地図板には、なぜかこの会館の名前だけが示されていない。総連が北朝鮮の「大使館的な役割」を主張し、固定資産税の免除を主張してきたことを考えると奇妙なことと言える。

会館の歴史については、総連発行のハンドブックに次のように説明されている。