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韓国の慶南大学国土衛星情報研究所のチョン・ソンハク副所長は、韓国デイリーNKへの寄稿で、北朝鮮の田植えの遅れが深刻な水準にある実態を明らかにした。

チョン氏は、去年と今年の5月20日前後に撮影された衛星写真を比較する手法で、昨年は田植え実施率の全国平均が89.1%だったのが、今年は66.8%にとどまっていることを示した。中でも咸鏡南道(ハムギョンナムド)の咸州(ハムジュ)平野の場合、半分しか終わっていない。

(参考記事:金正恩体制、水面下で進む危機…「田植え戦闘」コロナで打撃

それに危機感を持ったのだろう。政府は全国の農場に対して、矢継ぎ早に様々な指示を下している。しかし、農民からは反発の声が上がるばかりだと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)会寧(フェリョン)の情報筋は、今年の農作業をきちんと行い、住民の食糧問題の解決に農場員が先頭に立てという中央の指示文が今月2日に下されたと伝えた。

この手の指示文は、今年に入って既に4回以上も下されている。「農業を改善し食糧問題を解決することは、社会主義強国建設の最も切実な課題だ」などといった内容だ。

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これに対し現場の農民からは、「国は必要な営農資材を供給してくれないのに、なぜわれわれだけを痛めつけるのか」などと不満の声が上がっている。金正恩総書記は農業第一主義を掲げ、年初から農業の重要性について説き続けている。肥料や営農資材も全面的に保証すると宣伝しているが、現場に届いたものは何一つないという。

情報筋はまた、少雨の深刻さについても語っている。

「今年は近年まれに見るほどの日照りで、田植えをした田んぼですら干上がってしまい、稲の苗が枯れつつある」
「揚水機など営農資材が絶対的に不足している状況で、農民を追い立てたところで農業がうまくいくわけがない」

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(参考記事:米国の衛星が捉えた金正恩「危機的な状況」の証拠写真

平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋も、現地に中央からの指示文が下されたとして、その貫徹のために地域の党幹部が農場を回って宣伝扇動活動を行っていると伝えた。

この農場では6月に入っても田植えが終わっておらず、毎朝5時に出勤して、朝会に参加しなければならないが、そのたびに幹部が中央の指示文を読み上げるのを聞かされ、成果を出すよう迫られて不愉快な思いをしているという。

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中央は「今年は何がなんでも農業を科学技術的に行い、1ヘクタール当たりの穀物収穫を決定的に高めよ」との指示を出しているが、農民たちは「自然条件が整っていないのに、素手で農作業をしろということか」などと、指示を下すばかりで何の援助もしようとしない中央に対して反発しているという。