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金正恩総書記が掲げた「農業第一主義」。農業生産の向上で、慢性的な食糧難の改善を図るものだが、その第一歩から躓いている。コロナだ。

5月から、都市住民などを一斉に動員して農場に送り込む「田植え戦闘」が始まっているが、コロナ対策として移動禁止令を出したために、田植えをする人手が足りないという。平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

地域間移動が完全に禁止され、市や郡の境界線外への動員が中断されたことで、農場は完全に当てが外れてしまった。結局、農場の人員だけで田植えをするしかない状況となっている。

北朝鮮政府は今月5日、農村支援のためなら証明書がなくとも市や郡の境界線を超えても構わないとの指示を下していたが、12日の感染者公式認定により、それもなかった話にされてしまったようだ。

(参考記事:食糧難の北朝鮮、コロナ対策の移動制限を緩和して農村支援

今月初めに、黄海南道(ファンヘナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えたところによると、都市部から労働者や学生らを動員したとしても、必要な人手の1割にも満たない。現在では動員が一切できなくなってしまったことから、ただでさえ足りない人手が、さらに足りなくなっているという。

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また、コロナ感染を恐れ、それを理由に動員に応じない人も多く、田植えに深刻な影響が出ているようだ。

北朝鮮の農業は機械化が進んでおらず、人手に頼らざるを得ないのが現実だ。一部で機械が導入されているものの、コロナ鎖国により部品が不足しており、事故や故障が多発している。

(参考記事:「田植え戦闘中に50人死亡」断末魔の北朝鮮で異常事態

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一方、都市部の若者が「自ら嘆願した」ということにして農村や炭鉱に送り込み定住させる「嘆願事業」や、兵役を早期終了した元兵士を集団でこれら地域に送り込む「集団配置」が大々的に行われているが、順調に進んでいないと伝えられている。

結局のところ、田植えのためには一時的な動員に頼らざるを得ないのだが、今まではなんとかなっていた動員すらできなくなり、今年の収穫が懸念される。

(参考記事:送り込まれた若者が次々に逃げ出す北朝鮮農村「嘆願」事業の現実