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中欧のオーストリアでは、22日から4度目のロックダウンが始まった。新型コロナウイルスの新規感染者の急増を受けてのもので、隣国スロバキアでもロックダウンが検討されている。

一方、中国と国境を接する北朝鮮・両江道(リャンガンド)の金亨稷(キムヒョンジク)郡でも、今月19日から15日間のロックダウンに入った。新型コロナウイルスの国内での感染者はゼロだと言い張る北朝鮮で、なぜロックダウンが実施されているのか。デイリーNKの内部情報筋が伝えた。

事の発端は、封鎖令(ロックダウン)実施の前日に遡る。その日の午後9時ごろ、何者かが川向うの中国から北朝鮮に忍び込む様子を発見した、国境警備に当たっている朝鮮人民軍(北朝鮮軍)暴風軍団は、その人物を逮捕。無慈悲に暴行を加えた後で、尋問を行った。

逮捕されたのは、40代のチェさん。カネを受け取るために中国に行っていたというが、所持していた10万元(約180万円)もの現金はその場で奪われた。情報筋は言及していないが、そんな大金は、単純な出稼ぎで稼げる額ではないため、密輸や人身売買に関わっていたものと思われる。

この事案はすぐさま、金亨稷郡非常防疫連隊を通じて中央非常防疫司令部に報告された。翌19日の午前10時から突如として、郡全体がロックダウンに入った。つまり、新型コロナウイルスの感染者が発生したわけではなく、単に国境封鎖が破られたからというのが、ロックダウン実施の理由だ。ちなみに川向うは吉林省長白朝鮮族自治県の八道溝鎮という小さな村で、県内で新規感染者は出ていない。

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実施に伴い、郡に入るための旅行証(国内用パスポート)の発行が中止され、車両と人の出入りも禁じられ、市場の営業も中止させられた。また、民間人糾察隊、地域に駐屯する兵士からなる合同取り締まり班を立ち上げ、住民の移動を取り締まっている。反抗したり規則に違反したりした場合は逮捕され、1ヶ月以上の労働鍛練刑(懲役)に処される。

今回のロックダウンで行き来ができず、郡内に閉じ込められた暮らしを強いられる住民だが、それによる経済的損失は一切補償されない。ただ、外出を全面的に禁じるような高強度のロックダウンではないようだ。

昨年来、国境沿いの地域に乱発されていた封鎖令で、ステイホーム期間中の食べ物をあらかじめ調達できず、餓死する人が相次ぎ、住民の不満が最高潮に高まったことを意識し、ガチガチのロックダウンを実施するのは難しいのだろう。

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(参考記事:【北朝鮮国民インタビュー】突然のロックダウンで生活困窮、餓死者も

また、厳しいロックダウンを強いても、なし崩しになってしまうリスクがあることも考慮されたと見られる。

(参考記事:「このままでは全住民が死ぬ」北朝鮮都市 ”コロナ対策” が崩壊

なお、密輸入国したチェさんに対しては30日間の隔離処分が下され、期間経過後に本格的な取り調べを受けることになっている。