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北朝鮮では昨年12月の最高人民会議常任委員会第14期第12回総会で採択された「反動的思想・文化排撃法」に基づき、国境に接する地域に「連合指揮部」と呼ばれる組織が派遣されている。

違法な携帯電話の使用、韓流コンテンツの視聴と流通、そして密輸など、取り締まりの範囲は多岐に渡り、これらの行為が当たり前のように行われていた国境沿いの地域では、逮捕者が続出している。

(参考記事:長期化する非社会主義取り締まりで疲弊の度合いを深める北朝鮮国境地域

地域の人々は、連合指揮部が早急に活動を終え撤収してくれることを望んでいたようだが、事態は逆の方向に進むかもしれない。

デイリーNK編集部は、今年6月に朝鮮労働党中央委員会が発した指示文の入手に成功した。それには、従来の「非社会主義集中掃討連合指揮部」の名称を「82連合指揮部」に変更し、反社会主義、非社会主義との闘争において82連合指揮部が統一的な指揮体系を徹底確立するとある。

今年6月に朝鮮労働党中央委員会が下した連合指揮部に関する指示文(画像:デイリーNK内部情報筋)
今年6月に朝鮮労働党中央委員会が下した連合指揮部に関する指示文(画像:デイリーNK内部情報筋)
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名称変更の正確な理由は明らかになっていないが、まず考えられるのは組織の隠蔽だ。名称変更の件は一般住民には知られておらず、関係する機関にのみ通告されている。つまり、より効果的な取り締まりを行うに当たって、名称変更が目くらましになりうるということだ。

また、最高指導者のマルスム(お言葉)を強調する意味合いも考えられる。

例を挙げると、韓流取り締まり機関として知られる「109常務」(グルパ)は、「外色資本主義思想を剔抉せよ」という2004年10月9日に金正日総書記の下した教示に基づいて結成された。また、「114常務」は、違法出版物と録画物を取り締まれという2012年1月14日の金正恩総書記の教示に基づくものだ。

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つまり、昨年8月2日に非社会主義、反社会主義取り締まりに関する何らかの指示が、金正恩氏から下されたことが考えられる。

さらに名称変更に伴い、期間限定の機関から常設機関に格上げされた可能性も考えられる。

デイリーNKの内部情報筋は、82連合指揮部への名称変更後、活動内容を毎日、毎週、毎月中央に報告するよう規律が強化されたことから、「体制に反する各種行為が完全になくなるまで組織の運用を続けるという意思が感じ取れる」と伝えた。

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また人民の生命と安全を侵害する強力犯罪、迷信(宗教)、不純出版物犯罪者を即決で処理し、類似事例の発生を防ぐような雰囲気作りを行うべきだとも強調されている。

しかし、その一方で、厳しい取り締まりの長期化に現地住民の不満がたまり、一部では統制を緩和する動きが出ているとも伝えられている。

また常設機関化することで、地域住民や地方当局とのしがらみができ、ワイロなどで骨抜きにされてしった国境警備隊と同様の道をたどったり、地元の安全部(警察署)や保衛部(秘密警察)との利害が衝突したりするなどの状況も考えられるため、実際に常設機関化するかは、今の時点ではわからない。

(参考記事:「政治的な埋葬やめよ」金正恩氏、国民の反発を警戒