北朝鮮国民が目を背ける「見せしめ射殺体」の衝撃場面

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深夜の鴨緑江(アムロッカン)に銃声が響き渡った。

北朝鮮の社会安全省(警察庁)は昨年8月、中国との国境線や、その1〜2キロ以内の緩衝地帯に許可なく接近すれば、人であれ動物であれ無条件で銃撃するとの布告を出した。人と物の行き来を完全に遮断することで、新型コロナウイルスの国内侵入を完全に防ごうというものだが、布告のせいで銃弾に斃れる人が相次いでいる。

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今月11日にも、20代の若者が撃たれて死亡する事件が両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)で起きたが、そのやり方の残酷さに地元住民の間に衝撃と恐怖が広がっている。

現地のデイリーNK内部情報筋によると、11日午後10時ごろ、国境を流れる鴨緑江に入った若者が、国境警備隊から20発の銃弾を浴びて死亡した。若者は、平安南道(ピョンアンナムド)突撃隊(半強制の建設ボランティア)の一員として、三池淵(サムジヨン)地区の再開発工事に携わっていた。

若者はおりからの食糧難で、食べ物を入手すべく、三池淵から60キロ南にある商業都市の恵山にやってきた。そして出来心からか、そのまま突撃隊を離脱して、中国に逃げ込もうとして、殺されてしまったのだろう。

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市民に衝撃を与えたのは、国境警備隊のその後の措置だ。若者の遺体を2週間経っても放置したままなのだ。見せしめの意味合いがあると思われるが、町そのものが国境を流れる鴨緑江沿いに位置する恵山のこと。普通に通りを行き来するだけで否が応でも遺体が目に入るだろう。一種のさらし首だ。情報筋も「恐ろしい雰囲気を作り出し、緊張感を高めるためのもの」と見ている。

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若者を射殺した隊員は国境警備総局と旅団長から称賛され、15日間の褒美の休暇も得たという。忠誠競争、点数稼ぎのために、次から次へと人を撃ち殺そうとする隊員が出かねない空気となっているとのことだ。情報筋は、食糧難などで隊員の士気を上げて、脱北を徹底的に遮断しようとする意図があると説明した。

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国境警備隊は地域住民の密輸、脱北に手を貸すことでワイロを受け取り、比較的裕福な暮らしをしていた。そこに下された国境封鎖令。資金源を絶たれて経済的に苦しくなったところに、国境警備の強化と称して、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の他の部隊が大量に増派された。「シマ」を荒らされ、顔を潰された形の国境警備隊にとって面白いわけがない。

そんな中での脱北者の取り締まりは、士気を上げるのにもってこいというわけだ。人民愛を云々しつつ、国民の生命、尊厳を平気で踏みにじるのが、北朝鮮という国だ。

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