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北朝鮮各地で豪雨と洪水による被害が相次いでいる。

東部の咸鏡南道(ハムギョンナムド)では、豪雨で川が増水して堤防が決壊、1170世帯以上の住宅が崩壊・浸水し、約5000人の住民が緊急避難した。また、また数百ヘクタールの農耕地が埋没・浸水・流失し、道路約1万6900メートルや橋梁が破壊されたと、国営の朝鮮中央テレビが伝えている。

また、中国・遼寧省と国境を接する北西部の平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(シニジュ)、義州(ウィジュ)、龍川(リョンチョン)などでも大雨による深刻な浸水被害が発生しているが、「ある施設」の建設に重大な支障が起きていると、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えている。

(参考記事:北朝鮮・新義州一帯で大雨、各所で冠水・停電も

問題になっているのは、義州飛行場に建設中の「国家西部物流総合処理場」だ。北朝鮮は昨年1月、新型コロナウイルスの国内流入を防ぐとして国境を封鎖し、貿易を停止する措置を取った。国境、貿易の再開にあたって貨物の消毒を行う大規模施設が建設されていることはデイリーNKでも既報の通りだが、ここに被害が出ているとのことだ。

北朝鮮では貿易再開に向けた動きが感知されており、その一つがこの施設の建設だった。既に完成したとの情報があったが、依然として未完成で、貿易が本格再開に至らない一因になっていると思われる。

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(参考記事:北朝鮮の貿易都市近隣に大規模検疫施設、コロナ後に向けた動きか

この国家西部物流総合処理場について、中央は「自然災害も党の政策を貫徹しようとするわれわれの前進を妨げることはできないという信念と覚悟で被害を防ぐべき」だと強調している。

情報筋によると、金正恩総書記の「ご心配」に基づき、李永吉(リ・ヨンギル)国防相、太炯哲(テ・ヒョンチョル)朝鮮労働党中央委員会政治局員が義州を訪れ、被害実態を把握し、現場で非常対策会議を開いた。処理場は仮設の建物で、大雨が降れば崩壊しかねないが、それを防ぐための資材が十分でなく、平壌1万戸住宅建設から資材を回すべきなどの話が出たとのことだ。

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情報筋はまた「中国からコメを取り寄せようとしているのに、検疫施設に問題が生じれば、結局は元帥様が全人民になさった約束を守れなくなる」「それで中央ではここ(処理場)を非常に重要視している」と説明した。

また、「現在の人民の食糧問題は党の存亡の分かれ目になるほど死活問題だ。被害を受けないよう無条件命がけで死守して、すべての党的、行政的対策を立てよ」との「1号マルスム」(金正恩氏のお言葉)も伝えられた。

処理場の建設には、主に平安北道突撃隊と速度線青年突撃隊が動員され、軍の労働力はあまりいなかったが、6月末に開かれた朝鮮労働党政治局拡大会議の後、軍の1個旅団が追加で動員され、現場の指揮も国防省が行うことになったという。