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新型コロナウイルス流入防止のため、北朝鮮が昨年1月末に国境を封鎖して以降、1年以上に渡って中断していた中国との公式貿易が再開する兆しが各所で現れている。

中国のデイリーNK情報筋は、中朝国境を流れる鴨緑江に今月16日、今まで航行が禁じられていた北朝鮮の船舶が現れたと伝えている。また、老朽化した従来の鴨緑江大橋に代わる、中国と北朝鮮を結ぶ新たな橋として建設が進められてきた新鴨緑江大橋の工事が再開したことも伝えている。

(参考記事:国境付近で次々に捉えられる北朝鮮の貿易再開の兆し

一方で、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の情報筋は、中国から北朝鮮に向かう国際貨物列車の運行が再開したと報じている。

丹東で鉄道関連部署で勤務する朝鮮族の情報筋は、北朝鮮に送る支援物資を積んだ国際貨物列車が、17日未明に丹東駅を出発し、北朝鮮の新義州駅で通関手続きを経て、平壌の西浦(ソポ)駅に向かったと伝えた。

この情報筋は新義州駅に消毒設備があると聞いていると述べた。またRFAが別の情報筋の話として報じたところでは、新義州郊外の義州(ウィジュ)飛行場にも、出入国者と貨物に対してコロナ検疫を行う施設が建設されているとされる。

(参考記事:北朝鮮の貿易都市近隣に大規模検疫施設、コロナ後に向けた動きか

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列車に積載された貨物の中身は駅員にも秘密にされたが、積荷の様子を見た駅員は、北朝鮮が最も求めている食糧で、コメではなくトウモロコシ約300トンだったと証言している。一方、これは家畜の餌で、国民に配給するものは次の便で輸入するのではないかとの見方もある。

ただ、中国人は北朝鮮にいくら食糧を送ったところで「底の抜けたカメに水を注ぐ」(焼け石に水の意)のと同然と考えており、飢えに苦しむ人が多いのに、数百、数千トンの食糧を支援したところで、一般国民に届くだろうかと疑問視しているとのことだ。

米農務省の経済研究所が今年2月に出したコメ生産報告書によると、北朝鮮の昨年のコメ収穫量は1994年の150万トンを下回る136万トンで、15万トンの食料輸入が必要だとしている。

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別の丹東市民によると、貨物列車は午前3時に出発した。理由は不明ながら中国政府は、北朝鮮に送る品目を隠そうとしており、駅員に対してかん口令を敷いているという。

この市民は、今回の貨物輸送を食糧不足が深刻な北朝鮮に、借款として支援物資を送ったのは事実としつつも、これがきっかけで中朝貿易が再開するかはまだ判断できないとしている。

北朝鮮にいる業者と通話したというこの市民は、北朝鮮国民の間で、中国から大量の物資が入ってくる話が広がっており、食糧難とモノ不足が少しでも解消することに期待していると述べた。

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関連性は不明だが、北朝鮮当局は最近、国民の食糧難に対する不満をなだめるために、「国際社会から援助食料がまもなく届く」とのプロパガンダを行なっていた。

(参考記事:「もうすぐ国際援助が来る」飢える国民に北朝鮮が宣伝戦

一方、中国税関総署の集計によると、中国の3月の対北朝鮮輸出は、2月の約3000ドル(約32万5000円)と比べて大幅に増えた約1300万ドル(約14億円)だった。輸出された品目のうち約500万ドル(約5億4000万円)分は尿素が占め、リン酸アンモニウムが420万ドル(約4億5000万円)だった。いずれも肥料の原料となるものだ。

それ以外にもビニール膜が約110万ドル(約1億2000万円)に達し、主要16品目のうち半分が農業関連のものだったと、RFAは報じている。北朝鮮は肥料、営農資材の深刻な不足により、農業生産に深刻な影響が出ている。

(参考記事:北朝鮮商人11人、密輸肥料や農薬を売っただけで刑務所行き